夢の終わり ページ19
自分の行動が、正気の沙汰でないことはくらいは良く分かっている。
それでもあの夜から…Aの部屋にあった絵葉書と同じものをここで見つけたあの夜から、
ここに来れば何か手掛かりが掴めるのではないかと、いてもたってもいられなくて、
.
「お兄さん最近よく見るわね。そろそろうちで一杯どう？」
涼介「……。」
ぞわりと鳥肌が立ちそうな声で近付いてきた下品な身なりの女を、片手で跳ね除けるようにしてあしらう。
独特の空気が辺りを満たしている、騒がしい夜の屋台街。
決して暇な訳ではないのに、
近頃は少しでも時間があればこの場所に来ていた。
.
『ごめんなさい…！その…、びっくりしちゃって、でも、』
.
あの日以来、Aには会っていない。
顔を見てしまったら、自分の感情が抑えられなくなりそうで。
少しでも疑う心が自分の中にあるのに、これまで通りに彼女に接するのは、
自分の性格を考えてもまず無理だろうと思った。
彼女を無用に傷付けてしまうことだけは避けたかったのだ。
.
涼介「…！」
その時、少し前を歩く女の背格好がどことなくAに似ている気がした。
慌てて追いかけ、その肩を叩く。
「？」
涼介「っ、失敬、人違いだった」
だけど振り返った女は全くの別人だった。
.
少し頭を冷やそうとやってきた屋台街の外れ。小川を眺めながら盃を煽る。
気が付けばひどく頭痛がしていた。
そういえば近頃は忙しくて、こうして寝る間を削ってしかこの場所に来れていなかった。
今日はもう帰ろう。
勘定をしようと立ち上がった時、確かに聞こえた。
.
A「ごちそうさまでした」
「はいよ！いつもありがとうね」
はっとしてそちらに視線を向ける。
小川沿いにある屋台の一番端の店。
のれんをくぐるようにして出てきたその横顔は、間違いなく___
涼介「A…、」
後をついて出てきた細身で猫背の男にも見覚えがあった。
あいつだ…！
Aの幼馴染みのその男は、慣れた様子で彼女の肩に腕を回し、2人は寄り添うようにしてこちらに背を向け、歩き出した。
涼介「っ、」
追いかけようと立ち上がった瞬間、突然腕を掴まれる。
「旦那、お勘定！」
振り返ると店の主人がじろりと睨んでいて、慌てて小銭を巾着ごと突き出した。
視界の端に、賑やかな屋台の人混みの中に消えていく二人が見えた。
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ばぶてり - とりあえず今出ている分まで全て読みました。すごく物語を作るのが上手く違うのも読みたい！と思って他の作品も見に行ったらまさかの前に読んでいた作品のほとんどが作者様でした。今まで色んな人の作品を読んできましたが、この作品が1番好きです。応援してます！！！ (2020年8月23日 9時) (
レス) id: 9d1b03072c (このIDを非表示/違反報告)
° * 。いのくま。* ° - 待ってました！現実世界、お疲れ様です！慧くん、どうなっちゃうの…？！というハラハラが止みません！最終話を読んでも感動で胸一杯になると思います。ちゃみ様の小説の世界観が大好きです！そして小説も！はな壱もんめ！ラストスパート、頑張ってください！ (2020年6月29日 1時) (レス) id: e41447f8a9 (このIDを非表示/違反報告)
この(プロフ) - 待ってました！！読んでるだけ自分が主人公になったような感覚になり、ハラハラドキドキしてます！！この時期いろいろと忙しいかと思いますが無理をなさらずちゃみさんのペースでゆっくり書いてください！上から目線な感じになってすみません、楽しみに待ってますね！ (2020年6月29日 0時) (レス) id: 2ec27d7b3e (このIDを非表示/違反報告)
伊野尾様Love.@七星 - 伊野尾様はこれからどうなるのか…涼介様はどうするのか…夢主cはどの道を進むのだろうか…。伊野尾様はそのまま素敵で涼介様は夢主cを想っているのが凄く伝わるし…。結末、楽しみにしておりますっ！ (2020年6月8日 15時) (レス) id: e41447f8a9 (このIDを非表示/違反報告)
伊野尾様Love.@七星 - お久しぶりです！この自粛中お引っ越しをしまして、ネット工事ができず…むずむずしておりましたw久しぶりにみたちゃみ様のはな壱もんめ！感動して涙が溢れましたw (2020年6月8日 15時) (レス) id: e41447f8a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちゃみ
| 作成日時：2020年5月1日 0時
