夢か幻 ページ32
3日後______
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「華也様によろしくお伝えくださいね。」
表まで見送りにやってきた幾松がにこりと笑った。
「うん。伝えておくね」
手土産の入った包みを抱えて手を振ると、彼女はいつもみたいにうやうやしく頭を下げた。
2人ほどお付きのものを連れて歩き出す。
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どうやって屋敷を抜け出そうか?
考えに考え抜いた私は、唯一の友達に手紙を書いた。
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「Aちゃん!久しぶり!」
A「華也ちゃん!」
屋敷の表までわざわざ出迎えに来てくれた華也ちゃんが、にこりと微笑んだ。
お付きのものを外で待たせ、いそいそと屋敷に入る。
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華也ちゃんは、子どもの頃あの神社で遊んでいた友達の1人。私と慧のことも昔からよく知ってくれている。
代々続く呉服商の生まれの華也ちゃんとは、似た境遇ということもありとても気が合う。
育ちがよくおっとりと優しい性格の彼女のことを、私はとても好きだった。
「ふふ、2人きりで会いたいから協力して、なんて。私、どきどきしちゃった」
部屋に通され、出されたお菓子をつまみながら、
弾んだ声で華也ちゃんが言う。
A「ごめんね、こんなことに巻き込んで…」
「全然!私は2人のこと、昔から応援してるんだから。上手くいってるんだね」
A「上手く…どうなんだろう…」
はっきりと慧の気持ちを聞いたことはないけど…
ふと、あの日おでこに触れた唇のことを思い出して、頰が熱くなった。
「わぁ、Aちゃん、真っ赤」
A「え…!」
思わず頰を両手で押さえる。そんな私を見て、華也ちゃんは楽しそうにくすくすと笑った。
A「でもね、私縁談が決まりそうなんだ…」
「えぇ!そうなの?お相手の方は?」
A「武家の出身で…とても良い人ではあるんだけど」
「わぁ、そうなんだ…!
あぁ、もっとお話ききたいけど、こんなところでおしゃべりしてる場合じゃないよ。慧ちゃんが待ってる」
A「あ、うん…!」
促され、慌てて立ち上がる。
「裏口から外に出られるようにしておいたの。ついて来て!」
彼女は声を潜めて部屋の戸をそっと開けた。
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ばるとくJUMP(プロフ) - はじめまして!私はもともと、ミステリアスでファンタスティックな作品が好きなので、この作品は本当にストライクです!しかも、伊野尾ちゃんと山ちゃんというくみあわせが作品にマッチしていて、すぐにのめり込みました。続きがもう待ち遠しいです!!!!!!!!! (2020年1月28日 20時) (レス) id: a73addc012 (このIDを非表示/違反報告)
中島理沙(プロフ) - この作品、とっても素晴らしいです!!! これからも応援しています!!! あ!ちなみに同じく私もPARADEロス激しい状態です笑笑 (2020年1月27日 6時) (レス) id: 848933ac82 (このIDを非表示/違反報告)
伊野尾様Love.@七星 - 慧の正体…、いつ分かるのでしょうか…!!読んでてとてもドキドキします…!w (2020年1月18日 23時) (レス) id: e41447f8a9 (このIDを非表示/違反報告)
伊野尾様Love.@七星 - 初めまして!今作の『はな壱もんめ』!!私がPARADEのアルバムの中で一番好きな曲で!!すぐさま見てしまいました…ww。しかも主は我が推しのいの様!!楽しめる予感しかしませんw先、とてもとてもとても気になるので更新お願い致します! (2020年1月11日 8時) (レス) id: e41447f8a9 (このIDを非表示/違反報告)
この(プロフ) - 新作おめでとうございます!更新頻度が高くて凄く嬉しいです!ちゃみさんの作品の中で珍しいジャンルですごくどきどききゅんきゅんしながら読んでいます!これからどうなるのかすごく楽しみです!応援してます!! (2020年1月7日 18時) (レス) id: 5bc2eb359c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃみ | 作成日時:2019年12月26日 15時