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屋台のある広場を、たい焼きを片手に歩いていると、ふいに慧が足を止めた。
慧「あ、古本市、」
A「行ってみようか」
近付いていくと、地べたにゴザが敷かれ、その上に様々な分野の本が雑多に平積みされているのが見えた。
慧「へー、けっこういろいろある…」
慧は、その場にしゃがみ込み、目を輝かせて古本を次から次へと手に取っていく。
ふふ、長くなりそう。
とりあえず私も隣にしゃがんで、ひとつ手に取ってみる。
中には何やら難しい、古い表記の文章がつらつらと書いてあって、
うーん、読めない…
そっと平積みの上に本を戻すと、
ゴザの端の方に並んだ絵葉書が目に入った。
A「わ、きれい…」
そこに描かれていたのは、湖の真ん中の小さな小島に佇む、見たこともないような形の建物の絵だった。
うっとりするような色遣いは、まるで夢の中にいるかのよう。
「お嬢ちゃん、お目が高いね!そいつは異国で買い付けてきたとっておきの品だよ」
A「わ、そうなんですね…、」
店主と見られるおじさんがにこにこと話しかけてくる。
見ると、絵葉書にしてはとても高価な値段が付いていた。
「そいつは異国に本当にある城さ。そんな湖の真ん中にバカでっかい建物作っちまうんだから、異国っつーのはすごい所だよなぁ」
慧「おっちゃん、これとこれちょーだい」
「あいよ」
慧「あ、あとその絵葉書も1枚」
A「え…!いいよ、それは…」
「おぉ兄ちゃん!気前がいいねぇ」
慌てて立ち上がったけど、もう慧は店主のおじさんにお金を渡しているところだった。
A「でも、慧、」
慧「ふは、そんな顔すんなって。だーいじょうぶだよ、臨時収入が入ったばっかでさ」
A「臨時収入?」
そう言って笑いながら、薄い藁半紙で包まれた絵葉書をこちらに差し出してきた。
慧「たまにはいーじゃん。カッコつけさせて?」
A「ありがとう…」
おずおずと受け取ったけれど、内心は、
とてもとても嬉しくて、
落とさないように、胸元にしっかりと仕舞い込んだ。
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ばるとくJUMP(プロフ) - はじめまして!私はもともと、ミステリアスでファンタスティックな作品が好きなので、この作品は本当にストライクです!しかも、伊野尾ちゃんと山ちゃんというくみあわせが作品にマッチしていて、すぐにのめり込みました。続きがもう待ち遠しいです!!!!!!!!! (2020年1月28日 20時) (レス) id: a73addc012 (このIDを非表示/違反報告)
中島理沙(プロフ) - この作品、とっても素晴らしいです!!! これからも応援しています!!! あ!ちなみに同じく私もPARADEロス激しい状態です笑笑 (2020年1月27日 6時) (レス) id: 848933ac82 (このIDを非表示/違反報告)
伊野尾様Love.@七星 - 慧の正体…、いつ分かるのでしょうか…!!読んでてとてもドキドキします…!w (2020年1月18日 23時) (レス) id: e41447f8a9 (このIDを非表示/違反報告)
伊野尾様Love.@七星 - 初めまして!今作の『はな壱もんめ』!!私がPARADEのアルバムの中で一番好きな曲で!!すぐさま見てしまいました…ww。しかも主は我が推しのいの様!!楽しめる予感しかしませんw先、とてもとてもとても気になるので更新お願い致します! (2020年1月11日 8時) (レス) id: e41447f8a9 (このIDを非表示/違反報告)
この(プロフ) - 新作おめでとうございます!更新頻度が高くて凄く嬉しいです!ちゃみさんの作品の中で珍しいジャンルですごくどきどききゅんきゅんしながら読んでいます!これからどうなるのかすごく楽しみです!応援してます!! (2020年1月7日 18時) (レス) id: 5bc2eb359c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃみ | 作成日時:2019年12月26日 15時