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涼介「へぇ、じゃぁ子どもの頃はよくここで遊んでたんだ」
A「そうそう。懐かしいな…」
茶屋を出て、まだ少し時間があったので、街外れの神社にやってきた。
石段を上まで登り、街を見下ろす形でその場に腰を下ろす。
涼介は目を細めながらその景色を眺めていたけれど、
ふと振り返り、境内をじっと見つめた。
涼介「…この神社、すごく『気』が強いね」
A「気?」
なんの話なのかいまいち掴めず、彼の方を見ると、
涼介はあぁ、ごめん、と小さく呟いて苦笑いをした。
涼介「剣の修行をしているとね、そういうのを感じやすくなるんだ。
気配というか、覇気というか…そういう見えないものの力」
A「へぇ…!すごい、そうなんだ…」
子どもの頃、いつもここにいたけど、私はそういうことは感じなかったなぁ…
思わず振り返り、境内を見つめた。
石畳が一本、小さく古い本殿に向かって伸び、辺りはうっそうとした林に覆われている。それ以外には何もない。普段は人の気配もない。忘れられたようにぽつんとそこにある、古びた小さい神社だった。
涼介「この神社の祭り、実はいつもその年1番の満月の日にやってるの、知ってた?」
A「え、そうなの?」
彼は両手をうしろについて、空を見上げた。
涼介「そう。あれは表向き狐様の霊を鎮めるための祭りって言ってるけど、本当は別の理由がある、なんて言われてて」
A「別の理由?」
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涼介がしてくれた話はこうだった。
この神社の神様にはもともと、年に一度、大満月の夜に死者の魂を蘇らせてくれるという言い伝えがあった。
そしてあの、人間と妖狐の壮絶な戦が起こった。
人間は容赦なく妖狐の住処に火を放ち、そのほとんど全てが焼き払われたが、
どこを探してもまだ子どもだった一匹の狐だけが見つからなかった。
人々はどこかで生き残っているかもしれない狐と、この神社の力を恐れた。
その狐がもし、死んだ仲間の魂を蘇らせ、復讐を企てたとしたら…
大満月の夜に祭りを行うようになったのは、その生き残った狐をその夜、神社に近寄らせないようにするためだ。
事実を知っている一部の人々は、大満月が沈む明け方まで提灯に火を灯し、
狐が現れないか目を光らせている…
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ばるとくJUMP(プロフ) - はじめまして!私はもともと、ミステリアスでファンタスティックな作品が好きなので、この作品は本当にストライクです!しかも、伊野尾ちゃんと山ちゃんというくみあわせが作品にマッチしていて、すぐにのめり込みました。続きがもう待ち遠しいです!!!!!!!!! (2020年1月28日 20時) (レス) id: a73addc012 (このIDを非表示/違反報告)
中島理沙(プロフ) - この作品、とっても素晴らしいです!!! これからも応援しています!!! あ!ちなみに同じく私もPARADEロス激しい状態です笑笑 (2020年1月27日 6時) (レス) id: 848933ac82 (このIDを非表示/違反報告)
伊野尾様Love.@七星 - 慧の正体…、いつ分かるのでしょうか…!!読んでてとてもドキドキします…!w (2020年1月18日 23時) (レス) id: e41447f8a9 (このIDを非表示/違反報告)
伊野尾様Love.@七星 - 初めまして!今作の『はな壱もんめ』!!私がPARADEのアルバムの中で一番好きな曲で!!すぐさま見てしまいました…ww。しかも主は我が推しのいの様!!楽しめる予感しかしませんw先、とてもとてもとても気になるので更新お願い致します! (2020年1月11日 8時) (レス) id: e41447f8a9 (このIDを非表示/違反報告)
この(プロフ) - 新作おめでとうございます!更新頻度が高くて凄く嬉しいです!ちゃみさんの作品の中で珍しいジャンルですごくどきどききゅんきゅんしながら読んでいます!これからどうなるのかすごく楽しみです!応援してます!! (2020年1月7日 18時) (レス) id: 5bc2eb359c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃみ | 作成日時:2019年12月26日 15時