桜雨、恋の音。2・・Kei・・

#53 ページ6

光「っしゃ、始めるかぁ」


慧「だいたいはできてんでしょ？」


光「そーそー、３つくらいパターンがあってさ…」



ソファの前のローテーブル。光のノートパソコンを覗き込みながら、膝を寄せ合って座る。



部屋の隅に積まれたCDとか、収納がないのか直置きされたまんまのバッグ類とか、ついつい見てしまう。




ふと、ベッドのサイドボードに置かれたフレームが目に入った。





A「あ…！」


光「ん？何？」


A「わ、ごめんなんでもない」


光「そ？気になるとこあったら言ってね、直すから」


A「うん」





だめだなぁ、集中しなくちゃ。


自分に言い聞かせるようにしても、つい頰が緩んでしまうのは、
ベッドの枕元に見つけてしまった小さな木製のフレームのせい。



フレームの中に見えたのは、いつだったかアトリエで、慧のピアノを聴いて初めて描いた、私の絵だった。




あんな風にフレームに入れて、飾ってくれてたんだ…






.






慧「んー…2番目のやつが好きかなぁ」


光「やっぱり？」


A「あ、私もそう思った」


慧「でもさぁ冒頭は最初のやつの方が好きかも」


光「あー、じゃそこだけ切って繋げるかぁ、」






.






少し画面の方に身を乗り出した慧の肩が、こつんとぶつかる距離で、





きゅんと締め付けられるような甘い気持ちをこっそり、味わっていた…

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