* kei ページ49
A「明日早かったんだね。バイト?」
慧「や、ちげー」
A「?そうなんだ。でも早く帰んないとだよね…あ、ここまででいいよ?」
慧「ほぇ?」
花見会場を出て、公園の中を歩いていた時、
Aの手がぱっと放される。
あっちに行ったら寮、あっちに行ったら駅、って道が分かれているその場所で。
面食らってたら、もう寮に向かってちょっと歩き出して、「おやすみ」って小さく手を振っているA。
慌てて追いかけた。
彼女と恋人同士の関係になって、まだそれほど日は経っていなかったけれど、
思った以上に自分のペースとか1人の時間が大事なAとの日々は、新鮮と同時に戸惑うことも多くて。
慧「待って、」
A「ん?」
慧「一緒に帰ろうよ」
A「え…」
慧「俺んち。やだ?」
なんかわかんなくて、すぐ不安になってしまう。
何これ、俺今ちょーめんどくさいやつ。
だけどそんな俺の不安をよそに、頰をほんのり赤く染めたAが、
A「やじゃないよ、…嬉しい」
少しうるうるとした瞳をこちらに向けるから、たまらずきゅん、と苦しくなった。
慧「…行こ」
一度離れた手をもう一度繋ぐ。今度は指と指も絡ませて。
.
慧「明日さ、どっか行こうよ。」
A「どっか?」
慧「んー。分かんないけど、ちょっと遠出したいなって」
A「お出かけか、いいね」
慧「でしょ?だから朝早いですって言ったの」
A「えぇ、そうか、ふふ」
夜風が気持ち良かったから、一駅分だけ歩くことにした。
A「わ、っと、」
ふいにAが躓いたから、繋いだ手を引き寄せる。
慧「セーフ」
A「危なかったぁ、ありがと」
慧「んもー。ちょっと飲みすぎたんじゃない?今日」
A「そうかなぁ」
さっきイケメンと楽しそうにお酒を飲むAを思い出してしまって、ちくちくした気持ちが顔を出しかけた時、
A「あ、ねぇ見て」
立ち止まったAが空を見上げた。
慧「ん?おー…、」
見上げた紺色の空に見えたのは、どこかの家の庭から少し道路にはみ出して咲き乱れていた桜
少し散り始めた枝の向こうに、にぽっかりと浮かんだ月が白く光っている。
それはまるで去年の春、出会ったばかりのAと一緒に見た風景みたいで、
あまりの美しさに一瞬、息を飲んだ。
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とまと(プロフ) - 深夜に一気読みで号泣でした、、こんなステキな作品に出会えたこと、とても嬉しいです!、これからも応援してます、頑張ってください!! (2019年12月31日 2時) (レス) id: e7e27b9562 (このIDを非表示/違反報告)
Nana - いつもドキドキしながら読んでます!最近更新の頻度が高くて嬉しいです!すれ違いってせつないですね、、彼女さんもいい子みたいだし登場人物が皆いい人なので皆に幸せになってもらいたいです続きも楽しみに待ってます! (2019年11月17日 0時) (レス) id: 2ec27d7b3e (このIDを非表示/違反報告)
sayo(プロフ) - 切なくて切なくて、先が気になって仕方ありません。毎回、おもしろ度を最高につけたいのに既に投稿済みで無効になってしまうやるせなさ…ついにコメントまでしてしまいました。更新、楽しみにしています。 (2019年11月12日 19時) (レス) id: 8f2791b52a (このIDを非表示/違反報告)
まひろ(プロフ) - 100票目をいただきました!すぐ駆けつけられなくてごめん( ; ; )ちゃみちゃんの書く伊野尾くんは柔らかくて可愛くて大好きー!楽しみにしてます(*^▽^*) (2019年10月31日 20時) (レス) id: 135a6c956f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃみ | 作成日時:2019年10月26日 23時