#81 kei (11/21) ページ35
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「伊野尾、コンクールのエントリーそろそろ締め切りだけど。」
慧「ほぇ?俺すか?」
個人レッスン終わり、帰り支度をしていたところで、
担当の櫻井先生からそんな声をかけられた。
先生が言うそのコンクールは、国内ではけっこう有名な大きい規模のもので、
若手ピアニストの登竜門、なんて言われている。
慧「いやー俺は今年はまだ、そこまでじゃ…」
「そうかぁ?十分このレベルまで来てると思うよ、お前」
先生は、言いながら掲示板に貼り出されていたコンクールの要項に視線を流した。
「結果を残そうとか考えなくていいからさ。今いる自分の位置を確かめるのには、すごく良い機会だと思うけど」
慧「自分の位置…、」
「俺が最初に出たのは、お前と同い年の時だったけどね」
先生はそう言うと立ち上がって、俺の肩をぽん、と叩いた。
「ま、決めるのはお前だよ。お疲れ」
慧「ありがとうございました…!」
ぺこり、と下げてた頭を上げたら、もう先生はいなかった。
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最近、1つ嬉しいことがあった。
親父がピアノを続けることを、間接的にだけど認めてくれた。
なんだかんだ心配してくれていたのか、平成祭をこっそり見に来てくれていたらしい。
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『まぁ…お前がどのくらい真剣に取り組んでるのかはよく分かった』
『でも教員免許だけは取っておけよ。お前の将来のためだ』
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なんか素直な言い方じゃないところがまた親父らしいんだけど。
真っ先にAの顔が浮かんだ。
久しぶりにアトリエに行きたいな、と思った。
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平成祭が終わって、彼女と別れて、
それからの俺は、今までの自分じゃ考えられないくらいピアノと向き合ってきた。
忙しい日々の中で、自然とアトリエに行くことは少なくなった。
光と一緒にいるAを見るのが、まだちょっとしんどいかな、なんて情けない理由も多少はあったけど。
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とまと(プロフ) - 深夜に一気読みで号泣でした、、こんなステキな作品に出会えたこと、とても嬉しいです!、これからも応援してます、頑張ってください!! (2019年12月31日 2時) (レス) id: e7e27b9562 (このIDを非表示/違反報告)
Nana - いつもドキドキしながら読んでます!最近更新の頻度が高くて嬉しいです!すれ違いってせつないですね、、彼女さんもいい子みたいだし登場人物が皆いい人なので皆に幸せになってもらいたいです続きも楽しみに待ってます! (2019年11月17日 0時) (レス) id: 2ec27d7b3e (このIDを非表示/違反報告)
sayo(プロフ) - 切なくて切なくて、先が気になって仕方ありません。毎回、おもしろ度を最高につけたいのに既に投稿済みで無効になってしまうやるせなさ…ついにコメントまでしてしまいました。更新、楽しみにしています。 (2019年11月12日 19時) (レス) id: 8f2791b52a (このIDを非表示/違反報告)
まひろ(プロフ) - 100票目をいただきました!すぐ駆けつけられなくてごめん( ; ; )ちゃみちゃんの書く伊野尾くんは柔らかくて可愛くて大好きー!楽しみにしてます(*^▽^*) (2019年10月31日 20時) (レス) id: 135a6c956f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃみ | 作成日時:2019年10月26日 23時