#57 kei ページ10
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A「っくしゅん、」
光「いのちゃん、なんか掛けるもんない?」
慧「あ、あるある」
ベッドにもたれかかって、俺の部屋にあった漫画を読み始めた光の膝の上で、
もうAはだいぶ前からすやすやと眠ってしまっている。
彼女にそっとブランケットを掛ける。首筋や頰の辺りはまだほんのりと赤い。無防備に晒された桜色の唇。
ドキリとしてしまって、光にバレないようにと立ち上がったら、
ガシャン!
慧「いっ…て、」
はずみでテーブルの端っこに足をぶつけて、置きっ放しの空き缶が倒れた。
A「……、」
起きちゃうかな?と思ったけど全然、そんなことはなくて。
そーっとベッドの上に寝転がる。
2人を見下ろしながら、つい本音がポツリと出た。
慧「爆睡だね、何しても起きなそー。」
仮にも密室で、男2人に囲まれてるっていうのに。
慧「…Aってさ、自分が可愛い女の子だっていう自覚全然ないよね?隙だらけっていうか」
光「だーから俺がこうしてくっついて歩ってるんだろうが」
漫画から顔を上げた光にジロリ、と見られてしまって、思わず肩をすくめた。
なーんだ、結局この2人ってそういう感じ?
2人って付き合わないの?って喉元まで出かけたけど、なんとなくやめた。
光「わ、終電終わってんな」
慧「泊まってけば?明日休みでしょ?」
光「だなー、さんきゅ」
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別にいーよ、っていう代わりに、ベッドの上からひらりと手を振って、枕に突っ伏した。
うとうとと微睡みながら、さっきからなんとなく心に引っかかっている感情に気付く。
…あの写真、Aには見られたくなかった。
そんな風に思ってる俺ってちょっとずるい奴?
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『いいな、制服デートってなんか憧れ』
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そう言って写真を見て無邪気に笑うAの顔が思い出された。
慧「…そんなに、いーもんでもないよ…」
光「ん?なんか言った?」
慧「ほぇ?」
光「寝てただろ今」
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寝てたかも。
って返そうとしたけど、重たくなった瞼には逆らえず、そのまま目を閉じた。
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とまと(プロフ) - 深夜に一気読みで号泣でした、、こんなステキな作品に出会えたこと、とても嬉しいです!、これからも応援してます、頑張ってください!! (2019年12月31日 2時) (レス) id: e7e27b9562 (このIDを非表示/違反報告)
Nana - いつもドキドキしながら読んでます!最近更新の頻度が高くて嬉しいです!すれ違いってせつないですね、、彼女さんもいい子みたいだし登場人物が皆いい人なので皆に幸せになってもらいたいです続きも楽しみに待ってます! (2019年11月17日 0時) (レス) id: 2ec27d7b3e (このIDを非表示/違反報告)
sayo(プロフ) - 切なくて切なくて、先が気になって仕方ありません。毎回、おもしろ度を最高につけたいのに既に投稿済みで無効になってしまうやるせなさ…ついにコメントまでしてしまいました。更新、楽しみにしています。 (2019年11月12日 19時) (レス) id: 8f2791b52a (このIDを非表示/違反報告)
まひろ(プロフ) - 100票目をいただきました!すぐ駆けつけられなくてごめん( ; ; )ちゃみちゃんの書く伊野尾くんは柔らかくて可愛くて大好きー!楽しみにしてます(*^▽^*) (2019年10月31日 20時) (レス) id: 135a6c956f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃみ | 作成日時:2019年10月26日 23時