＊ ページ8
A「…どうかな」
うん、まぁまぁ幸せだよ〜
って、いつもみたいにへらへら笑って、流してしまえば良かったのに、
最近、いろんなことがあったから、
少し疲れていたのかもしれない。
A「どうだろ…へへ、わかんないや…」
急に視界がぐわんと歪むから、慌てて俯いたら膝の上にぽたり、雫が落ちた。
違うでしょ、今は思い出す時じゃないでしょって、何度も言い聞かせたけれど、やっぱりだめで。
貴くんといるとやっぱりどうしても、思い出してしまう。
.
『つーかA、』
『やっぱ変わってないね。基本がさ』
.
やっと忘れかけたと思っていたのに、新しい記憶が上書きされてしまった。
大人になった慧くんの、あの頃とはほんの少しニュアンスの違う笑顔が過った。
.
貴久「……。」
ふと、向かいに座っていた彼が席を立って、
私の座る、2人がけのソファ席の隣にぽすん、と腰を下ろした。
貴久「はい、」
ありがとう、とやっと小さく呟いて、手渡されたハンカチを受け取る。
ぴし、とアイロンがけされているそれは、貴くんが働いているお店の小さなロゴマークが入っていた。
そっと目元を拭い、息を吸って、吐いた。
.
貴久「俺はさ、」
ぽそりと貴くんが話し始める。
貴久「…俺はね、全然後悔してないの。」
A「…？」
なんのこと？って見返すと、彼は一瞬だけふわ、と笑って、
それからソファの背もたれに寄りかかって、遠くを見た。
貴久「俺はさ、
…Aと一緒にいた頃に、自分の気持ち全部出し切ったし、」
A「…！」
貴久「やってみよう！って思ったことも全部やれたし、…うん、…だから前に進めたんだと思う」
彼の話の意図するところに気付き、思わずはっと目を見開いた。
貴久「だから、全然後悔してないし、今すっごい幸せなの」
A「うん…、」
少し引っ込んだ涙がまた、視界を揺らし始めた。
貴久「Aは？」
A「え…？」
にこ、と柔らかく笑ったまま、彼が私の顔を覗き込んだ。
貴久「Aは自分の気持ち、ちゃんと全部出し切った？」
A「…！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1007人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
いく(プロフ) - 完結おめでとうございます。２人のお話が大好きです。もう一度出会えてここまでこれたのもとっても嬉しいです！！ (2019年9月5日 16時) (
レス) id: bf142477e0 (このIDを非表示/違反報告)
みーな(プロフ) - 終わってしまった！大好きな2人のお話だったので嬉しさと淋しさでいっぱいです。素敵なお話を共有させていただいてありがとうございました！また、この2人にも新しいお話にも、近い内お会いできる事を楽しみにしてます！最高でした！！ (2019年9月5日 11時) (レス) id: 0f82e6a95a (このIDを非表示/違反報告)
Minami(プロフ) - こんなにも素晴らしいお話を書いてくださりありがとうございます！大好きです。ぜひ続編書いて欲しいです！ (2019年9月5日 10時) (レス) id: 2aa9c6ae3e (このIDを非表示/違反報告)
侑和姫(プロフ) - 終わって欲しくないです！未来の話とかたくさん書いて欲しいです！ (2019年8月27日 17時) (レス) id: c8a348212a (このIDを非表示/違反報告)
ちょん(プロフ) - 2人の子供の話とかずっとこのお話読んでいたいです！ (2019年8月19日 7時) (レス) id: ddb27fd106 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちゃみ
| 作成日時：2019年4月9日 23時
