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慧「んーと、あとは衣装どーするか、」
光が打ち合わせ用に用意したノートに、慧が『いしょう』と書いてぐるぐると丸で囲った。男の子らしい雑なフォント。
A「あ!それ私のー!」
光「何だよ、いらねーのかと思った」
光が、私のお皿に乗っていたニコちゃんマークの形のポテトをひょい、とつまんで口に入れた。
学食の1g1円バイキングで、どうせ冷凍食品だとわかっているのについつい取ってしまうやつ。
A「最後に食べようと思ってたのー!」
光「しょーがねーな返そうか?ほら」
A「!?やめてー!」
慧「はいそこイチャイチャしなーい」
光「してねーわ」
お昼過ぎで人気もまばらな学食で、私たちのテーブルだけが際立って賑やか。
パックのミルクティーにストローを差しながら、気を取り直してノートに向かう。
A「あの…、それで、衣装なんだけど」
慧「んー?」
A「たぶん私、描いてて相当絵の具ついちゃうと思うんだけど、
それも見越して、あえて真っ白、っていうのはどうかな?」
さらりと言い終えたように見せて、内心はドキドキしていたけど、続ける。
光「真っ白?」
A「そう…作品が完成するにつれて衣装も変化していく…っていうのも面白いかなって。あ、変化するのは私だけなんだけど…」
だんだん語尾が小さくなってしまって、誤魔化すようにミルクティーをひとくち。
慧「へー!それ、いーじゃん!」
光「お前、やっとやる気出てきたな?」
2人がニコニコとこちらを見ている。
心底ホッとした気持ちで、笑い返した。
A「やる気出たっていうか、腹をくくったっていうか」
光「いいね、いのちゃんの音からどんどん色に染まってく感じが出せそう」
光が『いしょう』の下に『まっしろ!』と書き込んだ。
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慧「やべ、俺今日個人レッスン」
時計を見て、慧が立ち上がった。今日は本来なら午後から授業がない曜日だけど、ピアノ科とか音楽系の人たちはこの日に個人レッスンが入ることがあるらしい。
光「早くね?」
慧「や、まだ時間あるんだけどさー、最後確認したくて」
慧はゆるりと生きているように見えて、根がとても真面目な人だ。ピアノに関しては特に。
練習室寄ってから行く!とさっさと荷物をまとめ、彼は学食から出て行った。
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夜神月風火 - いつも楽しみに読んでます。ちゃみさんがだいすきなので、更新されるたびにうれしく思います!無理なさらず頑張ってください! (2019年8月15日 15時) (レス) id: d7aa5f874c (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - Twitterで2つ連載されると聞いてわくわくしながら待ってました!いつもちゃみさんの新作を見るとどんな伊野尾くんでも本当にきゅんきゅんするんです!2つ同時に連載されるのは大変かと思いますが、無理なさらないでくださいね!ずっと待ってます! (2019年4月5日 1時) (レス) id: 06987761d1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃみ | 作成日時:2019年3月22日 0時