◯ ページ9
慧「Aみーっけ、」
グズグズと泣いていたら慧ちゃんの声がして、慌ててトレーナーの袖で涙を拭いた。
慧「これ一緒に食べよ?」
そう言って持っていたカップを差し出してくれた。中に見えたのは、私が一番好きなやつ。食べると口の中がパチパチするの。
でもなんだか素直になれず、俯いたまんまで言った。
A「…いいよ。それは慧ちゃんがママに買ってもらったやつでしょ」
慧「えー!そうだけど…」
うーん、そっかぁ、と一旦はカップを引っ込めた慧ちゃんだったけれど、
あ、と気付いて嬉しそうにまた私の方に向き直った。
慧「いーの。俺ほんとは、さっきマックでポテト食い過ぎたから、腹減ってねーし、」
A「…そうなの?」
慧「うん。ほら、あーんってして、」
口を開けたら、慧ちゃんが、すくったひと匙を私の口に入れてくれた。
慧「うまい?」
パチパチ、ほっぺの内側で弾ける音。
A「うん…、」
アイスの甘さのおかげか、慧ちゃんの優しい気持ちのおかげか、
さっきまでギスギスしていた心は、いつのまにかほっとしていて。
慧「おとなになったらさ、」
今度は自分の分をひとくち頬張った慧ちゃんが、ニコニコしながら言った。
慧「いっしょに食べに行こう?あの3段重ねのアイス」
A「おとなになったら…?」
その時、目の前を、綺麗な女の人と、背が高くてかっこいい男の人が、手を繋いで通り過ぎていって、
なんだか急に、ドキドキしてきた。
A「うん、行く…!行きたい!」
慧「ねー!好きなやつ一緒に食べよ」
A「うん!あ、1番上はこの味がいい」
慧ちゃんのカップに入ったアイスを指差す。
そうしよう、と慧ちゃんは頷いてくれた。
おとなになったら、私もさっきのお姉さんみたいに綺麗になれるかな?
慧ちゃんはその頃、かっこいいお兄さんなのかな…
.
あの後、すっかり機嫌が直って、慧ちゃんとニコニコしながら戻ってきたら、
そんな私を見て、ママが「もう、本当にAは慧ちゃんがいないとダメね」って笑っていたっけ。
胸の奥のそわそわ、むずむずした気持ちは、
こうやってどんどん膨らんでいった。
1055人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちゃみ(プロフ) - ibuki1030さん» 全ては第5章からひとつひとつ明らかになっていきます(^^)第5章にもぜひ遊びに来てくださいね〜♪ (2018年10月1日 13時) (レス) id: 84a0c50988 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃみ(プロフ) - ゆずごしょうさん» ありがとうございます(^^)移行したら第5章にもぜひ来てください♪ (2018年10月1日 13時) (レス) id: 84a0c50988 (このIDを非表示/違反報告)
ibuki1030(プロフ) - 慧くんは生き霊だったってことですか?← (2018年9月29日 16時) (レス) id: ef9b356e71 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずごしょう(プロフ) - 少なくとも、慧くん亡くなってなくて良かった! (2018年9月29日 10時) (レス) id: 5f95aa5fdf (このIDを非表示/違反報告)
ちゃみ(プロフ) - れもんどーなつさん» ありがとうございます!年齢を重ねて涙もろくなるのは老化ではなく、経験値が上がり感情が豊かになった証拠らしいですよ!と、薮くんばりの余談でした笑 続きもがんばります(^^) (2018年9月25日 14時) (レス) id: 84a0c50988 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ちゃみ | 作成日時:2018年9月15日 13時