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最寄りのバス停で降りて、その白い建物の自動ドアをくぐる。



メモを片手に、間違えないようにその場所へ向かう。



鼻をつく消毒液の匂いが、忘れていた日々を鮮やかに思い出させていく。







.






エレベーターを降りてすぐ。
部屋の番号と名前を何度も確認した。

…間違いない。ここだ。





ドアにかけた手が無意識に震える。
いつのまにか心臓がばくばくと音を立てて鳴り出している。






小さく1つ、深呼吸をして、
私はその扉を開いた。









.








A「……!」







.








『全部俺のワガママなんだ…もう一度だけ、どうしても会いたかった』






.







瞬間、目に飛び込んできた光景に、
なぜだか昨日の夜の彼の言葉と、花火の光に浮かんだ優しい笑顔が思い出された。




一歩、また一歩、フラフラとベッドの前まで歩いていく。









.









.







ベッドの側に辿り着き、思わずその手にそっと触れた。









私が知っている、よく食べてよく寝て、たくさん笑う彼より、ずっとずっとやつれていたけれど、





この手は私が、何度も繋いだ大好きな手で間違いない____________









.







A「………慧、」







やっとその名前を呼ぶ。視界がゆらゆらと揺れる。
彼の青白い頰に、涙がこぼれ落ちた。








A「…ねぇ、慧、」






規則的な電子音が、彼に繋がれたたくさんの機械から聞こえてくる。
思わずきゅ、とその手を握りしめた。

だけど、いつもみたいに握り返してはもらえない。





A「……っ、」




ぽたりぽたり。
あとからあとから、流れ落ちていく雫。
彼の手を握ったまま、ベッドの脇に膝をついた。








.









…ねぇ、慧、



ずっとここにいたんだね。





忘れていてごめんね。





ねぇ、どうして…、





どうして私に会いに来たの?






.






A「こたえてよ、慧…」







いくら名前を呼んだって、閉じられた瞳はぴくりとも動かない。
彼の手を握りしめたまま、涙はとめどなく溢れていく。








.









慧、あなたは、



12歳の寒い冬の『あの日』からずっと、



ずっと、ここで眠っていた____________

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設定タグ:Hey!Say!JUMP , 伊野尾慧   
作品ジャンル:恋愛
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ちゃみ(プロフ) - ibuki1030さん» 全ては第5章からひとつひとつ明らかになっていきます(^^)第5章にもぜひ遊びに来てくださいね〜♪ (2018年10月1日 13時) (レス) id: 84a0c50988 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃみ(プロフ) - ゆずごしょうさん» ありがとうございます(^^)移行したら第5章にもぜひ来てください♪ (2018年10月1日 13時) (レス) id: 84a0c50988 (このIDを非表示/違反報告)
ibuki1030(プロフ) - 慧くんは生き霊だったってことですか?← (2018年9月29日 16時) (レス) id: ef9b356e71 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずごしょう(プロフ) - 少なくとも、慧くん亡くなってなくて良かった! (2018年9月29日 10時) (レス) id: 5f95aa5fdf (このIDを非表示/違反報告)
ちゃみ(プロフ) - れもんどーなつさん» ありがとうございます!年齢を重ねて涙もろくなるのは老化ではなく、経験値が上がり感情が豊かになった証拠らしいですよ!と、薮くんばりの余談でした笑 続きもがんばります(^^) (2018年9月25日 14時) (レス) id: 84a0c50988 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちゃみ | 作成日時:2018年9月15日 13時

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