夢色のひるさがり ページ14
慧「A、帰ろ」
A「あ…うん、待って」
本棚の前で、2冊持っていた本のどちらかで迷っていたところで、後ろから慧ちゃんに声を掛けられた。
うーん…スパゲティ…はまた今度でいっか。ハンバーグにしよう。
主人公がこまりながらお料理を作る、大好きなシリーズの本の1冊を、そっと本棚に戻した。
A「借りてくるから待ってて？」
慧「また5冊借りんの？」
A「もちろん！」
ぱんぱんになった手提げを肩からかけて、貸し出しカウンターに向かう。
図書館で借りれる上限は5冊まで。上限いっぱいに借りて、1週間かけてゆっくり読むのが、10歳の頃の私のブームだった。
.
「いのちゃん！うちにゲームしに来ない？」
慧「んー？今日？」
「そうそう」
図書館を出ようとした時、うちの小学校の名札を付けた男の子が私たちに声を掛けてきた。後ろにも何人か知らない友達。男の子も女の子もいる。慧ちゃんのクラスの子かな。
慧「あー、今日はダメなんだ〜、Aんちで一緒に留守番すんの。な、A」
A「あ…うん」
後ろにいた女の子が、私を上から下までじろりと眺めるから、少し居心地が悪い。
「そっかぁ。また今度きてよ。マリカー買ってもらったんだ！」
慧「まじ？いーなぁ。また今度ね！」
バタバタとその集団が去っていって、ちょっとだけほっとした。
.
A「ゲームしなくて良かったの？」
慧「へー？」
A「友達んち！私1人でも留守番できるよ」
慧「いーのいーの。俺はAんちで留守番してる方が好き〜」
A「…そっか」
当然のように私の手提げバッグを肩から下げて、隣を歩く慧ちゃんの笑顔。思わず顔がほころぶ。
セミの鳴き声をBGMに歩いていく午後3時。夏休み間近の空から、この時間になってもぴかぴかとまぶしい日差しが降り注いでくる。
A「グラタンか、ハンバーグかコロッケ、」
慧「んー？」
A「慧ちゃんどれが良い？」
慧「んー…ハンバーグ！」
A「おっけー」
慧「作んの？」
A「夏休みにね！自由研究にしようと思って」
慧「へー！すげぇ」
A「慧ちゃん食べに来てね？」
慧「いーの？やった、」
4年生になって初めてクラスが離れてしまったけれど、相変わらず慧ちゃんにとって『特別』なポジションにいられることが、
この頃はただ素直に、嬉しかった。
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ちゃみ(プロフ) - ibuki1030さん» 全ては第5章からひとつひとつ明らかになっていきます(^^)第5章にもぜひ遊びに来てくださいね〜♪ (2018年10月1日 13時) (
レス) id: 84a0c50988 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃみ(プロフ) - ゆずごしょうさん» ありがとうございます(^^)移行したら第5章にもぜひ来てください♪ (2018年10月1日 13時) (レス) id: 84a0c50988 (このIDを非表示/違反報告)
ibuki1030(プロフ) - 慧くんは生き霊だったってことですか？← (2018年9月29日 16時) (レス) id: ef9b356e71 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずごしょう(プロフ) - 少なくとも、慧くん亡くなってなくて良かった！ (2018年9月29日 10時) (レス) id: 5f95aa5fdf (このIDを非表示/違反報告)
ちゃみ(プロフ) - れもんどーなつさん» ありがとうございます！年齢を重ねて涙もろくなるのは老化ではなく、経験値が上がり感情が豊かになった証拠らしいですよ！と、薮くんばりの余談でした笑 続きもがんばります(^^) (2018年9月25日 14時) (レス) id: 84a0c50988 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちゃみ
| 作成日時：2018年9月15日 13時
