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そういえば雪だるま作ったなぁ。伊野尾くんと。
何個でも作ります!とか言って笑って。
楽しかったなぁ、あの時。
戻りたいな。
.
「…さん、Aさん!ねぇ起きて、」
ウトウトしてたら伊野尾くんの声がした。
ついに幻聴?そんなに会いたいのか、私。未練がましい。
「A!」
A「ん…」
大きな声で名前を呼ばれて、ゆっくり目を開けた。
意外と深く眠っていたようで、ぼやけた世界。
A「あれ…?」
誰かが私の肩に手を乗せて、顔を覗き込んでいる。目を凝らして少しずつ、焦点を合わせる。
目の前にいるその人が誰だか分かった瞬間、心臓がどきん、と跳ねた。
A「伊野尾くん…?」
慧「…っ!」
目が合った、と思った次の瞬間、気が付いたら彼の腕の中にいた。
慧「…どこも、怪我してないですか?」
その声はほんの少し震えていて。
A「大丈夫だよ…、」
慧「良かった…!」
頭が全然付いていかない。
伊野尾くんがどうしてここに?
A「探しに来てくれたの…?」
慧「…どこ探してもいないから、」
震えた声でぽそぽそと喋りながら、
その腕はより一層の力が込められて、
みるみるうちに目が覚めて、今自分の置かれている状況に気がつく。
慧「もう、いなくなっちゃったのかと思った…」
言葉の最後の方は、まるで涙で滲んでいるように掠れていた。
A「ごめん、ケータイ、圏外で…自力で登るのもちょっと無理で、」
慧「……。」
A「伊野尾くん…?」
急に黙り込んでしまった彼の顔を覗き込もうと、くっついた体を離そうとしたけれど、
一瞬、ほんの少しだけ離れた体はすぐまた引き戻されて。
慧「待って、今、」
慧「俺、めちゃくちゃ情けない顔してる」
再びぎゅうっとくっついた胸元から、いつかみたいに彼の、速い鼓動を感じた。
…何が、どうなっているの…
混乱しながら確実に、とくとくと速くなっていく自分の鼓動。
少しして息を整えた彼は、私の肩に手を置いたままでそっと体を離した。
慧「Aさん、…俺やっぱ無理…、」
A「え…?」
慧「諦めるなんて、むり…」
A「…!」
彼の瞳がまっすぐに私を見つめた瞬間、心臓が止まる。
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もこ(プロフ) - 完結おめでとうございます!最初から最後までずっとキュンキュンしてました!もうちゃみさんの書く伊野尾くんに恋しちゃってます(*/□\*)特に最後の更新は胸が痛いくらいでした!そして未央ちゃんも幸せになれそうでよかった!次回も楽しみにしてます! (2018年4月23日 7時) (レス) id: 3c654b5b82 (このIDを非表示/違反報告)
不眠症の羊(プロフ) - ご無沙汰です!完結おめでとうございます。ちゃみさんらしいちょっと切なさも含んだ後のあまきゅん!(∩´∀`∩)平和で幸せなラストをありがとうございました。疲れた身体と心が癒されました。 (2018年4月22日 9時) (レス) id: 5d3f6da0fa (このIDを非表示/違反報告)
りさ(プロフ) - あー!面白かった!はじめまして、だと思います。スローモーションの作者の方なんですね。あのお話もとっても面白かったです。そして、このお話、毎回楽しみに待ってました。幸せな気分なれて最高です。次のお話も楽しみにしてますね! (2018年4月19日 23時) (レス) id: f16f966fcc (このIDを非表示/違反報告)
由依 - 完結おめでとうございます。とても面白かったです!最高過ぎました☆これからも応援しています(^^) (2018年4月19日 22時) (レス) id: 0583577ad2 (このIDを非表示/違反報告)
ねごと(プロフ) - 待ってました!素敵なお話でとてもとても毎回楽しみにしてました!ほんとうに大好きな作品です....こんな素敵な作品を書いてくれたちゃみさん!ありがとう! (2018年4月19日 21時) (レス) id: a5461549d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃみ | 作成日時:2018年3月23日 23時