＊ (side Mio) ページ34
館内放送を入れてもらって数十分。
私たちはレストランを出て、ゲレンデに続く自動ドアの前にいた。
増「ったくぅ、あいつ何してんだよなぁ、自由だからもう一本お代わり！っつって滑ってたりして？」
慧「………。」
増「なーんて。」
だけどいくら待ってもAさんは現れなくて、徐々に重たくなる空気と、減っていく会話。
隣にいる慧は、さっきから黙ってゲレンデの方向を見つめていた。
その表情は、みるみるうちに険しくなっていく。
こうしている間にも、天気はどんどん悪くなって、
降りしきる雪と吹き付ける風で、もう山の上の方は全然見えなくなった。
ゲレンデに残っていた人達は次から次へと切り上げて戻ってきていて、もうコース上にほとんど人影はないように見える。
慧「あ、」
その時、よく似た配色のウェアを着た女の人が降りてきて、ゴーグルを外す。
でもそれは、全くの人違いで。
明らかに落胆の色を含んだ慧の、小さなため息が聞こえた。
慧「まっすーさん…」
増「…ん？」
慧「最後にAさん見たのってどこですか？」
増「どこって…上だよ。そのリフトで登ってったとこ」
慧「……。」
黙ったままの慧の視線が、再びゲレンデに戻される。
慧「俺、」
その瞬間、何かとても嫌な予感がした。
慧「探してきます…！」
未央「慧！」
彼がゲレンデに飛び出して行くのと、私が彼の名前を呼んだのとはたぶん、ほぼ同じ瞬間で。
私の声なんて全然届いていない様子で、彼は雪が舞う白の世界に消えた。
そもそも私の声なんて、出会った時からずっと、彼には届いていなかったけど。
＊ (side Kei) (4/19)→←＊ (side Mio)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 972人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もこ(プロフ) - 完結おめでとうございます！最初から最後までずっとキュンキュンしてました！もうちゃみさんの書く伊野尾くんに恋しちゃってます(*/□＼*)特に最後の更新は胸が痛いくらいでした！そして未央ちゃんも幸せになれそうでよかった！次回も楽しみにしてます！ (2018年4月23日 7時) (
レス) id: 3c654b5b82 (このIDを非表示/違反報告)
不眠症の羊(プロフ) - ご無沙汰です！完結おめでとうございます。ちゃみさんらしいちょっと切なさも含んだ後のあまきゅん！(∩´∀`∩)平和で幸せなラストをありがとうございました。疲れた身体と心が癒されました。 (2018年4月22日 9時) (レス) id: 5d3f6da0fa (このIDを非表示/違反報告)
りさ(プロフ) - あー！面白かった！はじめまして、だと思います。スローモーションの作者の方なんですね。あのお話もとっても面白かったです。そして、このお話、毎回楽しみに待ってました。幸せな気分なれて最高です。次のお話も楽しみにしてますね！ (2018年4月19日 23時) (レス) id: f16f966fcc (このIDを非表示/違反報告)
由依 - 完結おめでとうございます。とても面白かったです！最高過ぎました☆これからも応援しています(^^) (2018年4月19日 22時) (レス) id: 0583577ad2 (このIDを非表示/違反報告)
ねごと(プロフ) - 待ってました！素敵なお話でとてもとても毎回楽しみにしてました！ほんとうに大好きな作品です....こんな素敵な作品を書いてくれたちゃみさん！ありがとう！ (2018年4月19日 21時) (レス) id: a5461549d4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちゃみ
| 作成日時：2018年3月23日 23時
