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時間通りの6時から宴会がスタートした。
今回の座席はくじ引きで決まる。
「あら、Aちゃんお隣!よろしく〜」
A「あ…、先輩、」
私が引いた座席は、フットサルサークルも掛け持ちしているあの先輩の隣だった。今日は赤リップじゃないんだ。
A「何飲みますか?」
「あたしビールでいいよ、ありがと」
A「いえいえ、」
先輩のグラスに、開けたばかりの瓶ビールを傾けて注ぐ。
「あ、竹志さぁ、こないだ久しぶりにフットサルの方にも来たよ」
A「わ…!」
『竹志』の名前が出た途端、動揺が隠しきれなくて、手元が狂って泡が溢れた。
A「すみません、大丈夫でしたか?」
「あはは、平気だよ、もう酔ってる?」
畳の方にも少し溢れていて、おしぼりで拭きながら、
A「実は、別れたんですよ、竹志とは」
さらりと軽い感じでそう言って、笑った。
「あ…?そ、だったんだ…?ごめんね」
A「いえいえ」
それきり、なんとなく気まずい空気が流れてしまって、
いつのまにかその先輩は、反対側いた3年生と話し始めていた。
.
みんな少しずつ酔いが回って、座席を移動したりして、空気がガヤガヤと楽しそうな雰囲気に変わる頃、
最初の気まずい空気を引きずったまんま、どの盛り上がりの輪にも入りそびれた私は、ひたすらにお酒が進んでいた。
このペースはたぶん、あんまりよくないな。
って頭のどこかで思いながら、半ば投げやりのような気持ちでグラスを傾ける。いつもは飲んだりしない瓶ビール。苦い。おいしくない。
こんな時に、伊野尾くんの席をちゃっかりチェックしている自分に気付いてしまう。
振り返らなくてもちょうど見える位置に、彼はいた。
4年生の先輩に囲まれた彼は、楽しそうにお酌をして、目元をくしゃくしゃにして笑っていた。
移動するような素振りはなくて、宴会が始まった時からずっとそこにいた。
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もこ(プロフ) - 完結おめでとうございます!最初から最後までずっとキュンキュンしてました!もうちゃみさんの書く伊野尾くんに恋しちゃってます(*/□\*)特に最後の更新は胸が痛いくらいでした!そして未央ちゃんも幸せになれそうでよかった!次回も楽しみにしてます! (2018年4月23日 7時) (レス) id: 3c654b5b82 (このIDを非表示/違反報告)
不眠症の羊(プロフ) - ご無沙汰です!完結おめでとうございます。ちゃみさんらしいちょっと切なさも含んだ後のあまきゅん!(∩´∀`∩)平和で幸せなラストをありがとうございました。疲れた身体と心が癒されました。 (2018年4月22日 9時) (レス) id: 5d3f6da0fa (このIDを非表示/違反報告)
りさ(プロフ) - あー!面白かった!はじめまして、だと思います。スローモーションの作者の方なんですね。あのお話もとっても面白かったです。そして、このお話、毎回楽しみに待ってました。幸せな気分なれて最高です。次のお話も楽しみにしてますね! (2018年4月19日 23時) (レス) id: f16f966fcc (このIDを非表示/違反報告)
由依 - 完結おめでとうございます。とても面白かったです!最高過ぎました☆これからも応援しています(^^) (2018年4月19日 22時) (レス) id: 0583577ad2 (このIDを非表示/違反報告)
ねごと(プロフ) - 待ってました!素敵なお話でとてもとても毎回楽しみにしてました!ほんとうに大好きな作品です....こんな素敵な作品を書いてくれたちゃみさん!ありがとう! (2018年4月19日 21時) (レス) id: a5461549d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃみ | 作成日時:2018年3月23日 23時