snow ＊ drop From この恋を知るまでは 2・・Kei・・

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『…分かった』



『も、…いいです』




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あの夜、彼はそう言って私の手を離した。そういう風に仕向けたのは、私なんだから。



それなのに、今までと変わらずにおしゃべりできたら、なんて。都合が良すぎるよね。



言い聞かせても収まらない胸の奥のざわざわした気持ちを飲み込むように、わざと明るく振る舞う。







A「あ！舞香、こっちこっち」





バスに乗り込んできた舞香のために立ち上がって、座席を開ける。




舞香「A」


A「舞香酔うでしょ！はい、窓際」


舞香「ありがと……でもいいのかな」


A「大丈夫！ね、伊織さん」




そう言って後ろの席を覗く。
伊織さんと小山さんが狭い２人掛けのシートに隣り合わせで座ってニコニコ笑う。
なんだか本当に可愛らしくて、その瞬間だけ心が和んだ。





舞香「あはは、お疲れ様です」


慶「うちの伊織さんがね、舞香ちゃん酔うからって取っといたんだよ！」



小山さんが伊織さんの方に首を傾げて可愛くにっこり。



舞香「今日は小山さんカーじゃないんですね」



伊織「そうなの、慶ちゃんてば昨日も飲み会だったしバス乗せてもらえるようにお願いしたんだ」





2人の会話を聞きながら、通路側の席に座ろうとした時、
少し、離れた後ろの方の座席に、隣り合って座る伊野尾くんと未央ちゃんが見えてしまった。




会話までは聞こえなかったけれど、１つのスマホを2人で覗き込んで、楽しそうに笑っている。









その瞬間、今度は大きく音を立てて胸がずきん、と痛んだ。









なに、これ、いたい。









思わず胸に手を当てて、座席に座り込む。

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