night 206 ページ7
A「……。」
涼「……。」
おそらく、沈黙が流れたのはほんの数秒だったけれど、
その数秒が永遠に感じて思わず、自分の掌を握りしめた。
涼「…そっか、」
そんな私の話を彼は、顔色ひとつ変えないで聞いて、
涼「ん…、わかった」
笑顔のまま、私の顔を覗き込んだ。
涼「…やっぱり、あいつが好き?」
優しく微笑むその瞳に、ほんの少し、切ない光を宿して。
A「うん…そう、だと思う」
『あいつ』が誰を示しているのかは明確で、
瞬間、もう会えなくなってしまった笑顔を思い出して苦しくなる。
涼「そ、か…」
涼介は短くそう呟いて、私から目を逸らした。
壁に掛けてある時計の秒針が、カチコチと規則的に時を刻む音だけが聞こえた。
.
A「でも…!」
沈黙を破って、意を決して、切り出した。
A「でもね、それだけじゃ、ないの」
.
A「私ね、まだ何も出来てないの…。
叶えたい夢が確かにあったはずなのに、思うようにいかないからって逃げてばっかりでね、
ちっとも自分の足で立てていないの。周りの優しさに、甘えてばっかり」
いつの まにか視界がゆらゆらと歪んで、慌てて手の甲で拭う。
泣きたいんじゃない。
ちゃんと、伝えたい。
A「だからね、…1人で頑張ってみたい。
ちゃんと、自分の足で前に…進めるように、なりたい」
堰を切ったように、思いは溢れた。
涼「……。」
頭の中で何度もしていたシュミレーションでは、もう少しスマートに言えるはずだったのに。
思いと一緒に溢れ出した雫を手の甲で拭った。
彼は、どう思っただろう?
その目を見れなくて、
膝の上で手を握りしめて俯いた。
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あーみん(プロフ) - ちゃみ様(´˘`*)昨日全話一気に読ませて頂きました!最初から最後までずーっと泣きっぱなしで、やまいのどちらも好きな私には最高の作品でした!他の作品もこれから読ませて頂きます。もぉちゃみ様のファンになってしまいました!今後も素敵な作品楽しみにしてます。 (2020年2月25日 15時) (レス) id: fc6bdef142 (このIDを非表示/違反報告)
mio(プロフ) - 全話一気に読みました!!もどかしく進んでいくストーリーにどうなる?どうなる?とコロコロ転がされている気分でした笑だけど、最後にキュンとして、感動して泣きました。ハッピーエンドで終わってとてもスッキリしました!素敵な作品をありがとうございます! (2019年11月21日 19時) (レス) id: c575e5be48 (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - 完結おめでとうございます!!前作同様、最初から最後までずっとドキドキしながらハンカチ片手に泣きながら読んでした!最後の“しあわせのかたち”での慧のしあわせって言ってたとこでは涙腺が崩壊してもう号泣していました!これからも応援してます!! (2018年3月4日 14時) (レス) id: 3c654b5b82 (このIDを非表示/違反報告)
菜乃花(プロフ) - 完結おめでとうございます! 前作から引き続き読ませていただいてたのですが、ちゃみさんの作る世界観が好きで、いつも途中で苦しい展開ながらも、最後はちゃんとハッピーエンドにしてくれて嬉しいです!(笑) これからも応援してます!頑張ってください! (2018年2月27日 12時) (レス) id: d8c87a6bcd (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!いやもうほんまに最高です!!!こんな幸せな振り回され方ってあるんだなって思いました(笑)新作も楽しみにしています!頑張ってください! (2018年2月25日 7時) (レス) id: feeba7beaf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃみ | 作成日時:2018年1月30日 14時