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慧「ほんとは、あの時用意しておきたかったんだけど、間に合わなくてさ、」
A「あ…!」
彼が言う、『あの時』。
.
それは、相葉さんのお店の、2号店の店長になることが、正式に決まった日の夜。
慧「一生、俺に味噌汁を作ってくれないか」
いつものダイニングテーブルで2人、少し遅い夕食を食べていたら、箸を止めた慧が突然、芝居掛かった声でそう言った。
A「え?なんの話?」
慧「ふは、だめだ、それっぽくやろうと思ったけどやり切れねぇ、」
A「…?」
ぽかんとする私を前に、ケラケラとしばらく笑い続けた彼は、
慧「ごめんごめん、…あのさ、結婚しよ?」
A「…!」
それは、ご飯のお代わりちょうだい?って言う時ぐらいの緩さで、
だけどその目は、真剣だったんだ。
.
慧「何とか今日に間に合って、良かった」
ふわりと笑った彼が、小さな箱の蓋を開けた。
A「わ…!」
箱の中に、キラリと一粒、光が見えた。
途端にゆらゆらと、歪み始めた視界。
小さな石が付いたプラチナ色のリングが、箱の中で煌めいていた。
A「きれい…!」
慧「せっかくだからもっかいちゃんとやっとくか」
そう言って彼は、リングを私の左手の薬指にはめた。
慧「お、サイズぴったり」
それから跪いて、左手の甲にそっと、キスを落とした。
A「…!」
それはまるで、初めて出会った日の、ステージの上のような。
今思えば、あの瞬間から私は、
スポットライトに照らされた『王子様』に、恋をしていたのかもしれない。
慧「A、俺と、結婚してください」
あれから随分と、この王子様に振り回されて、
まるでジェットコースターに乗っているみたいにぐるぐると、日々は過ぎて言ったけれど、
あなたと過ごす時間はいつでも幸せだった。
A「…はい…!」
慧「やべ、本番前に泣かせちゃった」
A「うー、泣いちゃった、」
慧が笑いながら、私の頬に流れた涙をそっと拭った。
「すみませーん!スタンバイお願いしまーす!」
ドアの向こうから、スタッフさんの慌てた声が聞こえる。
慧「お、時間だ、」
慧と私の婚約を発表する、記者会見の時間が目前に迫っていた。
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あーみん(プロフ) - ちゃみ様(´˘`*)昨日全話一気に読ませて頂きました!最初から最後までずーっと泣きっぱなしで、やまいのどちらも好きな私には最高の作品でした!他の作品もこれから読ませて頂きます。もぉちゃみ様のファンになってしまいました!今後も素敵な作品楽しみにしてます。 (2020年2月25日 15時) (レス) id: fc6bdef142 (このIDを非表示/違反報告)
mio(プロフ) - 全話一気に読みました!!もどかしく進んでいくストーリーにどうなる?どうなる?とコロコロ転がされている気分でした笑だけど、最後にキュンとして、感動して泣きました。ハッピーエンドで終わってとてもスッキリしました!素敵な作品をありがとうございます! (2019年11月21日 19時) (レス) id: c575e5be48 (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - 完結おめでとうございます!!前作同様、最初から最後までずっとドキドキしながらハンカチ片手に泣きながら読んでした!最後の“しあわせのかたち”での慧のしあわせって言ってたとこでは涙腺が崩壊してもう号泣していました!これからも応援してます!! (2018年3月4日 14時) (レス) id: 3c654b5b82 (このIDを非表示/違反報告)
菜乃花(プロフ) - 完結おめでとうございます! 前作から引き続き読ませていただいてたのですが、ちゃみさんの作る世界観が好きで、いつも途中で苦しい展開ながらも、最後はちゃんとハッピーエンドにしてくれて嬉しいです!(笑) これからも応援してます!頑張ってください! (2018年2月27日 12時) (レス) id: d8c87a6bcd (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!いやもうほんまに最高です!!!こんな幸せな振り回され方ってあるんだなって思いました(笑)新作も楽しみにしています!頑張ってください! (2018年2月25日 7時) (レス) id: feeba7beaf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃみ | 作成日時:2018年1月30日 14時