ナイトクルージングLAST・・Kei ＊ Ryosuke・・

daylight 11 ページ19

慧「へっ…？」




慧「…嘘でしょ…？」





思いきり戸惑った様子の慧が、背中を丸めて私の目を覗き込んだ。







A「嘘じゃないよ…！」







上手く伝わらなかった？
焦って拗ねた子どもみたいな口調になってしまった私に、間髪入れず彼が続けた。









慧「だめだよ、俺みたいなやつといても、




…幸せに、なれないよ、」







A「幸せ…？」









瞬間、彼の口から出た『幸せ』の言葉が、心に引っかかった。







慧が言う幸せって何だろう？それは誰かにしてもらうもの？









A「慧に、幸せしてもらいたいなんて…」







…違うよ。








A「思ってないよ…！」







慧の、困ったような瞳がもどかしい。



そんな風に、自分といても誰も幸せになれないと思ってしまうのは、



彼が長いことしていた、待つだけの恋の弊害だと、思った。









A「ただ、一緒にいたいだけなの、」






そうじゃないのに。そんなことないのに。






A「慧と一緒にいる時間が好きだから。


…それが私の、幸せだよ？」








慧「A…」



相変わらず少し戸惑った様子の彼の側に、気が付いたら2歩も3歩も詰め寄っていて、




彼の表情を見ていたら、じれったい思いでいっぱいになった。









A「…ねぇ、慧の、気持ちは？」





慧「俺の？」




A「そうだよ。さっきから私しかしゃべってないよ、

…思ってること全部、教えてよ」






いつだって自分のことを二の次にしてきた彼だから、


自分の本当の思いを飲み込んでしまうのも、もうすっかり、癖になってしまっていると、感じた。







慧「何言ってもいいの…？」


A「うん。いいよ。どんなことでも、…聞くよ」






『どんなことでも』と言った後、少しだけ怖くなったけれど、




それがどんな答えでも、もう何も飲み込んでほしくなかったんだ。

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