ナイトクルージング3・・Kei ＊ Ryosuke・・

night 113 ページ34

それは、写真だった。


写っていたのは、まだ制服を着ている黒髪のあどけない慧と、それから、







…あの人だ。







さっきの、長くて綺麗な髪の毛の、持ち主。
…慧の、大切な、人。







これっていつ？
慧が制服を着ているってことは、少なくとも10年くらい前ってこと…？







どうしてだか、指先が震えて、胸がずきん、と痛んだ。






写真の中の2人は寄り添って、とても幸せそうに笑っていたから。







2人には、私の知らない、長い長い時間があるってこと…？







〜♪








途端、机の上に伏せていたスマホがメッセージを受信する音が響いて、
思わずびくりと反応して振り向く。






『慧 : 終わったー』


『慧 : かえる』







メッセージを見て、慌てて箱の中に写真をしまって、
元の場所にそっと戻した。









大丈夫、私は今夜、何にも見てない。


ふう、と１つ、深く息を吐いて、


掃除道具を片付けようと立ち上がった。

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