ナイトクルージング3・・Kei ＊ Ryosuke・・

night 105 (K) ページ26

暗闇にもすっかり目が慣れて、





部屋に戻ったら、月明かりが差し込むベッドの上で、穏やかな顔で眠るAが見えた。



…今夜は、悲しい夢の中にはいないみたい。




ベッドに腰掛けてそっと、その頰に触れてみる。
すっぴんの寝顔は、写真立ての小さい頃の彼女によく似ていた。



慧「…今日は、どんな夢？」




返事の代わりに聞こえる、規則的な寝息。







男と女なんて、そこに気持ちがなくたって、体を重ねるのは簡単で、


だけど1度軽い気持ちでそんな夜を過ごしてしまったら、

それきりの関係になってしまうことなんて、今まで何度もあった。







狭いベッドの中、なんとか体を滑り込ませて、
いつもみたいに背中からくるりと腕を回して、目を閉じる。






慧「おやすみ、」







大丈夫、



君を傷付けたりなんて、しない。



ただ、今だけでいいから、



側に、いさせて？






.







君といると嘘みたいに




夜の中に溶けていって、



何も考えないでただ、




目を閉じるだけでいい。

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