memory (8) ページ3
くつくつと煮立ったミルクパンを火から降ろす。
涼介に教えてもらったロイヤルミルクティーの淹れ方。
けっこう、上手くなったと思うんだ。
キッチンからそっと、部屋の方に視線を移すと、
ソファに座ったままの彼は俯いたままで、その表情まではよく見えない。
A「…お待たせ、」
涼「ん、ありがと」
湯気の立つマグカップを2つ置いて、彼の隣に座る。
沈黙が苦しくて、とりあえずひとくち、淹れたばかりのそれを飲む。
A「あち、」
涼「……。」
ほら、けっこう上手にできたよ。
いつもだったらそんな風に言って笑うのに、今夜はどうしたってそんな風にはできそうにもなかった。
再び流れる沈黙。
彼はマグカップには手をつけず、視線を斜め下に落としたまま。
A「…私は、」
耐えきれなくて、カップを持ったまま勢いに任せて話し出した。
A「涼介のこと、応援したいっていつも、思ってるよ」
涼「……。」
A「留学って言ってもさ、数年でしょ?私、それくらいなら全然待てるし、」
涼「…A、」
A「ニューヨークだっけ?私だって働き始めたら今よりお金あるだろうから、たまには会いに行けると思うの、」
涼「……。」
彼の表情を見るのが怖くて、マグカップを握りしめたまま、話し続ける。
A「一回行ってみたいなぁって思ってたし、本場のヘアショーだって見てみたいし、」
涼「ごめん…!」
だけど私の言葉は、そこでぷつりと遮られた。
A「え…?」
涼「たくさん、考えたけど…」
涼「やっぱり俺は、もうAと一緒にいるのは、無理なんだ」
あったかいマグカップを持っているはずの指先が、一瞬で冷えて、ぴりぴりと震え出した。
A「でも…、」
涼「もう、終わりにしよう、俺達」
決定的な言葉は、そのまま私の心も体も貫いてしまうかのようだった。
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まーちゅ - すごく上手ですね、とっても面白いです!がんばってください! (2017年10月16日 23時) (レス) id: e40a6ac71b (このIDを非表示/違反報告)
由依 - 伊野ちゃんが、かっこよすぎます!スローモーションとは、違う感じの伊野ちゃんが出ていて最高です。これからも応援しています。(伊野尾担です(o^^o)) (2017年10月13日 16時) (レス) id: 0583577ad2 (このIDを非表示/違反報告)
らる(プロフ) - 切なくてきゅんとしました!表現のしかたが好きです!応援してます! (2017年10月11日 22時) (レス) id: 4c06eb038c (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - 毎回見てます!大好きです!これからも頑張ってください!! (2017年10月8日 22時) (レス) id: 32c992ad4d (このIDを非表示/違反報告)
いのちぇり(プロフ) - ほんまに大好きすぎて。。。毎日毎日更新楽しみにしてます! (2017年10月2日 19時) (レス) id: 54a3978f9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃみ | 作成日時:2017年9月17日 18時