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night 96 ページ17

慧「わー、なんかあれだね、女の子の部屋だね、」


A「そう?」



とりあえずお茶でも淹れようかな、と思って、ヤカンを火にかける。



慧「うん。女の子の部屋。なんかめっちゃいい匂いする」


A「もう、勝手に嗅がないで、」



慧「あっ、ねぇ、」




ソファに座ってたと思った彼は、勝手に立ち上がって、
棚の上の写真立てに手を伸ばした。





慧「これってA?」




お茶どうしよう。慧も疲れてるだろうから、ノンカフェインにしようかな。



慧「ねーぇ、」



A「あぁごめん、何?」




ルイボスアールグレイの葉を選んだところで、彼の呼びかけに気が付いて振り返る。



A「あぁ、それ、」








少し色あせたそれは、


いつかの夕暮れ。


初めて美容室に行って、髪を切ってもらった日の私と、お母さんの写真だった。







A「そうだよ。5歳くらいの時かな、」



慧「へぇ、Aかわいい!母ちゃん美人だね」






お茶の葉を入れたポットに静かにお湯を注ぎながら、





A「でしょ?自慢のママ。…その写真を撮ったすぐ後に、…死んじゃったんだけど。病気でね。」






なんだか話すつもりのないことまで話してしまった。






慧「そ…なんだ、」






蒸らす時間はだいたい3分くらい?キッチンに置いてある砂時計をひっくり返す。






静かになったなーと思ったら慧は、
ソファに座ったまま、その写真をじっと見つめている。








いつの間にか彼との沈黙もそんなに苦じゃなくなっている自分がいて、
とりあえずゆっくりと、あっためておいたカップにお茶を淹れた。






.






A「はい、どうぞ。」


慧「んー、ありがと」




慧の前にカップを置いて、なんとなく隣に座る。
うん、上手く淹れられたみたい。やっぱりこのお店のお茶は好き。買いだめしとこ。





慧「あち、」


A「ふふ、猫舌?」


慧「あ、これうまい」


A「おいしいでしょ。夜だからノンカフェインだよ」


慧「じゃぁ今夜も良く寝れそ」


A「慧、布団入ったらいつも秒で寝るじゃん」


慧「んー…なんでだろーね…」







あち、ってまた言いながら、もう一口。



カップを口につけた彼はまたしばらく、写真立てを見ながら静かになった。

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設定タグ:Hey!Say!JUMP , 伊野尾慧 , 山田涼介   
作品ジャンル:恋愛
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まーちゅ - すごく上手ですね、とっても面白いです!がんばってください! (2017年10月16日 23時) (レス) id: e40a6ac71b (このIDを非表示/違反報告)
由依 - 伊野ちゃんが、かっこよすぎます!スローモーションとは、違う感じの伊野ちゃんが出ていて最高です。これからも応援しています。(伊野尾担です(o^^o)) (2017年10月13日 16時) (レス) id: 0583577ad2 (このIDを非表示/違反報告)
らる(プロフ) - 切なくてきゅんとしました!表現のしかたが好きです!応援してます! (2017年10月11日 22時) (レス) id: 4c06eb038c (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - 毎回見てます!大好きです!これからも頑張ってください!! (2017年10月8日 22時) (レス) id: 32c992ad4d (このIDを非表示/違反報告)
いのちぇり(プロフ) - ほんまに大好きすぎて。。。毎日毎日更新楽しみにしてます! (2017年10月2日 19時) (レス) id: 54a3978f9e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちゃみ | 作成日時:2017年9月17日 18時

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