night 78 ページ39
『おいしい!涼介、お店出せそうだね、』
『そうかぁ?うーんまだ、改善できそうだな…』
『えぇ、これでもまだ納得できないの?涼介のお嫁さんになったらお料理大変そう、』
『いいよ、料理は俺が作るから』
『俺が料理担当で、Aがそれ以外の家事担当、』
『…なんかそれ、微妙に不平等、』
『…ばれたか。』
.
何気ない会話の中にも何となく、2人の未来が見えていたあの頃。
.
慧「え、ちょっと、」
気が付いたらキッチンが、涙でぐわんと歪んでいた。
A「捌くのは、いつも、りょ、」
つい彼の名前を言いかけて、慌てて言葉を止める。
A「私はやったこと、ないもん…」
1度溢れ出したら、何だかもう止まらない。
ぽたり、と雫が足元に落ちていく。
慧「……。」
しばらくそんな私を無言で見つめていた慧は、一歩、私に近付いて、
次の瞬間頰に感じたのは、薄いTシャツの布越しに、むに、ってした彼の胸元の感触。
慧「もう…、Aってほんと、」
あったかい手が私の背中に回されて、ぽん、ぽん、とあやすように叩いた。
慧「…俺みたい。」
え、
A「…どこらへん、が…?」
慧「うーん、だから、」
ぽんぽん、と背中を叩いていた手が止まって、
きゅ、と抱き締められていた腕の力が強くなる。
慧「そういうとこが。」
A「…?」
意味を掴み損ねている私の頭をくしゃ、と撫でて、彼はもう一度抱き締めている腕にぎゅーっと力を込めた。
慧「よし!」
と思ったら、ぱっと体が離れた。
慧「俺が作ってやるよ、めっちゃうまい飯。あいつが作ったより美味いやつ!」
A「…。」
いつの間にか、涙は引っ込んで、
腕をまくってキッチンに立つ薄い背中を見つめる。
慧「ほら!指示出して?最初はどうすればいいの?」
…なんか、頼りないなぁ。
なんて思いつつ、気が付いたらくすり、と笑っている自分がいた。
A「…やっぱり気付いてるじゃん、涼介のこと」
慧「え、何?」
A「何でもない。最初はね、鱗を取るの。包丁の背で、こうやって…、」
慧「んん?こう?」
.
なんでだろ。
いつもこの場所に来ると、
穏やかな気持ちが、広がっていく。
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いのみづちゃん(プロフ) - ちゃみさん!!!ほんとに毎回素敵な作品です!!!スローモーションの時もとっても感動出来ました!!!前と違って誰とどーなるっかっていうのもめっちゃ楽しみです!!!ずっと応援してます!!!毎回素敵な作品ありがとうございます!!!次回更新も楽しみです! (2017年8月25日 21時) (レス) id: db022ebb15 (このIDを非表示/違反報告)
みーた(プロフ) - りょんたです!伊野尾くんside素敵でした…(>_<)どうして高評価ボタンは1度しか押せないのでしょう…続き楽しみにしてます♪無理なさらず! (2017年8月19日 23時) (レス) id: 1b9ac09fc1 (このIDを非表示/違反報告)
山田華怜 - 更新めちゃくちゃ楽しみにしてます!!! めちゃくちゃ面白いです!!! (2017年8月19日 12時) (レス) id: 64fbe7ebd3 (このIDを非表示/違反報告)
あやか(プロフ) - 占ツクてわ一番好きな作品です!更新楽しみにしてます!がんばってください! (2017年8月18日 18時) (レス) id: 1e997993f4 (このIDを非表示/違反報告)
ふみ(プロフ) - 山田くんと伊野尾くん2人とも何か企みがありそうで1話1話楽しみに読んでます!!更新頑張って下さい!! (2017年7月24日 22時) (レス) id: e93f4a73ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃみ | 作成日時:2017年7月17日 17時