ナイトクルージング2・・Kei ＊ Ryosuke・・

night 75 ページ36

「748円です」

A「あ…カードでも良いですか」

「はい、」






財布を開けてため息。
全然現金入ってないじゃん。


コンビニで、カードで缶ビールとつまみを買う女、かなり残念。






「ありがとうございましたー、」


店員さんの明るい挨拶の声を背に、そそくさとコンビニを出る。






.







A「えい、」


ぷしゅ、と音を立てて缶を開けた。歩きながらなんてお行儀悪すぎ？


…もうどうでもいいや。






A「はぁ、」





一口ぐい、と流し込んだ。
きつめの炭酸が喉を通り過ぎる感覚はただひたすら苦くて、
こんなの本当は未だに、美味しいなんて思っていない。






とぼとぼと歩く帰り道。


今頃、涼介はあの子と…？







キラキラしたあの世界を生きている2人。


何の違和感もない。
すごくお似合い。







『なかなか時間作れなくてごめんな。時間空いたらさ、連絡するから、』









A「…ばか。」



一瞬でも、期待しちゃった私がバカ。

そっか、涼介は忙しかっただけで、ちゃんと私のことも考えててくれた！なんて、
浮かれちゃってた自分がバカ。




…空いてるじゃん今夜。




だけど、私は彼の優先順位の1番上にはもういないのだ。

ただそれだけのことじゃん。








えい、ってもう一口。
缶を傾けて、今度は一気に流し込む。

ふらふらと歩いているうちに、もう最初の缶は空っぽになりそうだった。









〜♪









カバンの中で電子的なメロディーが鳴っている。


…悪いけど今は、誰とも話したくない。



無視して２つ目の缶を開ける。








〜♪








…しつこいなぁ。




1度途切れたそれは、再び鳴り出して、
画面をよく確認もせずに、とりあえず画面をタップして電話に出た。









A「もしもーし？」


慧『あ、A〜、ねぇ、魚捌ける？』


A「はぁ？」









電話口から聞こえてきたのは、なんだか脱力感に襲われそうな、ゆるゆるでのんびりした声。

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