ナイトクルージング2・・Kei ＊ Ryosuke・・

night 67 (K) ページ29

もう一度触れ合ったらもう止まらなくなって、キスはどんどん深くなる。



もっと、もっと近付いていたくて、


結び直したばっかりの彼女のバスローブの腰の紐に手を掛けた。





.




だけど次の瞬間、部屋中に鳴り響いた電子的なメロディが、甘い時間を不意に断ち切った。





〜♪






トモカ「あ…電話、」



慧「……。」





そんなの言わなくても分かるけど。
離したくなくて意地になって、彼女の首筋に唇を這わす。





トモカ「慧、ごめん、ちょっと、」





そんな電話なんか出なくていいよ。っていうか電源くらい切っとけよ。





トモカ「ごめん、ね」






最後は俺の肩を両手でそっと押して、
するり、と彼女は腕の中から抜け出した。








トモカ「もしもし…、うん、帰って来たよ」






電話の主なんて聞かなくても誰だか分かる。





トモカ「え？今夜？そうなんだ…うん、帰るけど、私は少し遅くなるかも」





彼女の左手の薬指と繋がっている人。





トモカ「ふふ、お土産楽しみにしててね。じゃぁまた、」






通話を切って振り返った彼女は、眉を八の字に下げて困ったような笑顔を浮かべていた。






慧「…帰るの？」



トモカ「ごめんね…出張先で予定が変わって、急遽今夜戻れることになったって」




無言で右手を差し出す。
彼女がそれに触れるか触れないか。ぐい、と引き寄せて、抱き締める。




あっという間になくなる余裕。拗ねた子どもみたいな声で呟いた。






慧「…今日は朝まで一緒にいられるって言ったじゃん」




トモカ「うん…ごめんね、また今度必ず」







必ず、何？





駄々をこねる子どもをあやすみたいに、彼女の唇が俺のおでこに触れてすぐ、離れた。

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