night 62 ページ24
A「はぁ…、」
楽屋を片付けながら、無意識にため息が出た。
今日の現場は本当に素晴らしかった。
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「伊野尾くん、新境地開拓だね!」
慧「えぇ、ほんとすかぁ、メイクさんの腕が良いからっすよ、」
「いいコンビになりそうね、2人」
涼「ありがとうございます、」
スタッフさん達が2人を絶賛しているのを、私はなんとなくぼぉっと、遠巻きに眺めているだけだった。
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涼介が高木さんと今後のスケジュールの打ち合わせに行っている間に、楽屋にある彼の荷物をまとめて車に運んでおくのが、今日の私の最後のお仕事。
なんだか今日は、こうしている間にも、私と涼介の差はどんどん開いてしまっているんだなって、思い知らされた。
涼介はこのままもっと遠くに行ってしまう気がする。
もう同じ世界にはいられなくなる気がする…。
私はまだ、あなたのことが好きです、なんて、
もう到底、伝えられそうにないな。
もう一度、さっきより深いため息をついて、
荷物をまとめて、楽屋の電気を消した。
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「慧ー!」
慧「あ、トモカさん!」
楽屋を出て廊下を曲がろうとしてすぐ、そんな声がして、思わず足を止めた。
声がした方向を、ちらりと覗く。
廊下の少し奥の方。
慧の向こうからやって来たのは、遠目にも美しい、とわかる、手脚のすらりと伸びた女の人。
あれは、誰…?
よく見たら、トモカさん、と呼ばれたその女の人には見覚えがあった。
あぁ、モデルさんだ。慧と同じ事務所のモデルさん。
年齢は私たちよりいくらか上だった気がする。
コスメの広告とか、雑誌の表紙とか、
同世代のアラサー女子から絶大な支持を得ていて、
最近は海外のコレクションなんかにも呼ばれて、活躍の場が広がっていたような。
「ただいま!」
慧「…おかえり。パリ、どうだった?」
次の瞬間、荷物を持ったまま、咄嗟に曲がり角の壁に身を隠してしまった。
トモカさんの細い腕が、慧の首元にきゅ、っと絡んで、
その華奢な肩を、壊れ物を扱うみたいに大切に抱きしめる慧の姿が見えたから。
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いのみづちゃん(プロフ) - ちゃみさん!!!ほんとに毎回素敵な作品です!!!スローモーションの時もとっても感動出来ました!!!前と違って誰とどーなるっかっていうのもめっちゃ楽しみです!!!ずっと応援してます!!!毎回素敵な作品ありがとうございます!!!次回更新も楽しみです! (2017年8月25日 21時) (レス) id: db022ebb15 (このIDを非表示/違反報告)
みーた(プロフ) - りょんたです!伊野尾くんside素敵でした…(>_<)どうして高評価ボタンは1度しか押せないのでしょう…続き楽しみにしてます♪無理なさらず! (2017年8月19日 23時) (レス) id: 1b9ac09fc1 (このIDを非表示/違反報告)
山田華怜 - 更新めちゃくちゃ楽しみにしてます!!! めちゃくちゃ面白いです!!! (2017年8月19日 12時) (レス) id: 64fbe7ebd3 (このIDを非表示/違反報告)
あやか(プロフ) - 占ツクてわ一番好きな作品です!更新楽しみにしてます!がんばってください! (2017年8月18日 18時) (レス) id: 1e997993f4 (このIDを非表示/違反報告)
ふみ(プロフ) - 山田くんと伊野尾くん2人とも何か企みがありそうで1話1話楽しみに読んでます!!更新頑張って下さい!! (2017年7月24日 22時) (レス) id: e93f4a73ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃみ | 作成日時:2017年7月17日 17時