ナイトクルージング2・・Kei ＊ Ryosuke・・

night 59 ページ21

A「ここではその…、そんな風に話しかけないで…！」


慧「こんな風ってどんな風？？」





話しかけられた途端目の色が焦りに変わった私を、彼はただ、楽しそうに見つめた。






A「…わかってるくせに。」


慧「だから何が、」


A「もういいです、」






アイロン、そろそろあったまったかな。
手を近付けて温度を確認する。





慧「ねぇA、」


A「ここでは馴れ馴れしく話しかけないでください、」


慧「うわ、冷た」


A「ヤケドしますよ？動かないで」


慧「こえ〜！」






私の気なんか知らないで、ケラケラと笑う呑気な声が楽屋に響く。





慧「聞こえたかなぁ、さっきの会話」


A「なんですか？」


慧「なんでもなーい、」


A「……。」







やっぱりこの人完全に気付いてるじゃん。涼介のこと。







慧「んー？」






サラサラの髪の毛をふわふわに巻きながら、鏡越しに彼をじーっと見つめていたら、

私からの視線に気付いた彼が、手元の雑誌から視線を上げて笑った。




いつものミルクティーみたいに甘い笑顔。






慧「そういえばさ、昨日帰ったら部屋、キレイだった」


A「そうですか？ちょっとベッド付近整えただけですけど」


慧「んんや、気分良かったよ、帰ってから。ありがとね」


A「…別に。」


慧「次さ、いつ来れ」


涼「すみません、遅くなりました」






…！








ノックもせず楽屋のドアが開くから、心臓がびくりと跳ねた。

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