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043:最後のさよなら ページ44

時間ぴったりにホテルのレストランに着いた。

チャンミンが私に気付いてニコリと微笑む。

嬉しくて思わず手を振った私の視界に

とても不可解なものが いや 人が映り込んだ。




「え………どうして…?」




素直な疑問は

言葉となって飛び出して

多分 何か誤解している様子の蒼くんは

私をチャンミンに紹介でもするつもりなのか

クルリとチャンミンの方を振り返る。





「僕の…かの」
「A、時間通りだったね」
「え…?」
「ああ、彼女が僕の婚約者です」





チャンミンは立ち上がって

私の肩を抱いた。





「A、お母さんは元気だった?」
「う、うん…チャンミンにも会いたがってた」
「明日お母さんも一緒にランチしよっか」
「いいの?」
「もちろん」





蒼くんは

呆然と私たちのやり取りを見つめている。





「ここで蒼くんに会うとは思ってなかったけど…」
「・・・」
「どうせだからチャンミンも一緒に聞いて」
「・・・」
「私、あの時の事後悔したことないよ。それに身を引いたんじゃないの」
「え・・・」
「私…実は蒼くんと付き合う前…チャンミンと付き合ってたの」
「うそ…だろ」
「ごめん、言えなくて。蒼くんと結婚する事になってもずっとチャンミンの事忘れられなかった」
「・・・」
「一生懸命封印しようとしたけどダメだったの」
「・・・」
「だから…私にとってはあの時ああいう事になった良かったと思ってる」





蒼くんは整理ができないのか

まだ突っ立ったまま。





「俺を…だましたのか?」
「え…」





そう言って

彼がぎゅっと拳を握りしめた時

チャンミンが再び席を立って

俯く蒼くんの前で腕組みをした。






「騙していたのは…アナタでしょう」
「…アンタに」
「僕に関係ないとでも?」
「…」
「悔しそうですね…可哀想に」
「…」
「昨日アナタは僕が話し相手になっているとも知らずペラペラペラペラ…確か…俺たちにはまだ道が残っているとかなんとか…」
「…」
「それは具体的にどのような道でしょうか。今ここで説明してもらえますか」
「…すみません」
「謝罪は不要です」
「…」
「A、彼にさよならをしてください」
「…」
「会うのはこれが最後ですから」





蒼くんは小さく頭を下げて

まるで逃げるようにレストランを出て行った。

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作成日時:2017年3月5日 12時

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