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029:素直 ページ30

ユノヒョンに会わせたいんだ。

その一言で宿舎行きが決定して

チャンミンは嬉しそうにハンドルを切った。





宿舎のリビングで筋トレしていたユノくんは

私を見て目をぱちくりさせて驚いていた。





「Aさん………!!」
「ユノくん…お久しぶりです」
「…もしかして…メモ読んでくれたの?」
「はい…読みました」





そうか、良かった…。





そう言って笑ったユノくんの目に

涙が浮かんで見えたのは私の気のせいだろうか。

2人だけになった宿舎は広くて

つい 昔の騒がしかった5人を思い出してしまう。

昔は 夕食に招待されたり

日本語の勉強したり

よく宿舎にも足を運んだ。





「ユノヒョン、いつから僕らの事知ってたんですか」
「何、何を?」
「とぼけないでください」
「とにかく 仲直りできてよかったよかった」





俺はちょっと出かけてくるよー。

気を遣ったのか

わたしたちに手を振って

ユノくんは宿舎を出て行った。





「いつまでこっちにいるの?」
「…決めてない、仕事辞めたし…アパートも引き払ってきたから」
「もしかして…こっちに…」
「ううん。ちゃんと戻るよ、でも福岡じゃなくて別のところかなぁ」
「こっちにいればいいのに」
「じゃ…間を取って東京にしようかな」
「間って何。間になってないし」
「思い切ってアメリカ行こうかぁ…」
「どこでも好きなとこに行きなよ…ただし」
「ただし?」
「2017年にはこっちに来てくれる?」
「2017年?」
「それまではAの好きなところにいていい。どこにいても僕が会いに行くから」





頭の中を掠めた『兵役』の2文字。

きっとこの先5年ぐらいはスケジュールが決定しているはずだから

チャンミンは2015年頃に兵役に就くのかもしれない。






「…世界一周しようかな」
「それはいつか僕と一緒に」





懐かしい感触。

重なり合う肌が

隙間なく密着して 心地いい。





「チャンミン…ウェイトでもしてるの?」
「ジム行ってるのもあるけど、最近はダンスばっかやらされてるから」
「…前はここら辺にお肉が」
「ないないアイドルに贅肉なんてないから」
「・・・」
「ないから」
「・・・」
「目隠しされたいか」





やっと 呼吸できる

そんな気持ちだった。





*******





『東京?』
「うん、ちょうど通訳の仕事見つかって」
『じゃ早速会おう』
「え?」
『僕、明日から東京』





素直になると宣言したチャンミンは

本当に、嘘のように素直になった。

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作成日時:2017年3月5日 12時

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