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023:すっごい人 CM ページ24

毎日 一つずつ忘れていけばいい。

そんな簡単な事にも気付かなかった。

そうやっていくうちに

きっと新しい僕に生まれ変わる日が来る。





「あれ…チャンミン、携帯換えた?」
「はい。ちょっと長く使い過ぎたので」
「ふーん」





もうすぐ春とはいえ

まだまだ日本も寒い。

久しぶりの東京

昔と違って短いサイクルで国へ帰るように組まれたスケジュールとはいえ

第二の故郷は 少しだけ気持ちを落ち着かせてくれる。





「お前はあの携帯が好きなんだと思ってた」
「ただの通信手段ですよ。古くなれば新しいものに替えて当たり前です」
「…まだ使えるのに?」
「何ですか。僕が携帯替えちゃいけないんですか」
「別にそういうわけじゃないけど」





そう怒るなよ。

ユノヒョンは笑いながらジムへ出かけて行った。





「目立つのに…変装ぐらいしろよ」





韓国と違って

日本のファンたちはむやみやたらに僕らのプライベートを写真に収めたりしない。

それどころか 気付いても声を掛けてくることもあまりない。

そのせいか

国にいる時より のんびり過ごすことができるのも事実。





バッグの奥底

電源を落とした携帯を取り出した。

もしかしたら返事が来ているかもしれない…

そう期待するもう一人の自分を懸命に制して

滅多に開ける事のない

クローゼットの金庫に押し込んだ。





「忘れていくだけだ」





難しい事じゃない。





『え?合コン?』
「合コンというか…何というか」
『やっと彼女作る気になった?』
「…そうかも」
『了解。じゃ、ツアー終わったら誰か紹介するから』





Aさんが

あの人と結婚する夏頃には

きっと僕も

新しい僕になれる。





**********





長いツアーが終わって

爽やかな初夏のある日。

キュヒョンが紹介してくれた女性は

とても美しい人だった。





「福岡の大学に留学…?」
「はい、この春帰国したんです」
「向こうでは学校だけ?バイトとかしてなかったの?」
「インポートの家具屋さんでバイトしてました」
「ふーん…何かおしゃれだね」
「はい、お店も取り扱ってる商品ももちろんお洒落でしたけど…経営者の人がすっごい人で」
「すっごい人…」
「センスがずば抜けてるというか…とにかく素敵な人で」
「ああ…そういう意味のすっごい…ね」
「この人です」





きっと彼女は

その人の事を好きだったのだろう。

初対面の僕に

嬉しそうに彼の写メを見せながら

顔を少し赤くした。

024:糸 CM→←022:こんな結末。



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作成日時:2017年3月5日 12時

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