検索窓
今日:1 hit、昨日:12 hit、合計:147,620 hit

022:こんな結末。 ページ23

「だから…認知はする…から」
「そんなひどいよ…」
「だって、俺たちが結婚する事知ってたよな?」
「だからって、子供よりこの人を取るの?」
「そうじゃない…そういう意味じゃないよ」
「じゃどうして…結婚じゃなくて認知なの」
「だけどそれはずっと話し合ってきただろ、納得したはずじゃないか」
「お金で解決するのね」





目の前で繰り広げられる事に

私は果たして関わっているのだろうか。





彼女が私のオフィスに来て

すぐに 私は蒼くんを呼んだ。

3人で 近くのカフェに入って

もう1時間。

2人は私の存在を忘れてしまったいるのか

口論を続けてヒートアップしている。





「アナタ子供が欲しいって言ってたじゃない」
「それは…Aとの事だ」
「何よそれ…だったらどうして私を」
「最初から遊びだって割り切ってたよな」
「でも…子供ができたのよ、遊びで割り切れることじゃないわ」
「だから俺は堕ろしてほしいと言ったよな」
「ひどい…」
「それを無駄に同じ口論を続けてこんな時期まで引き延ばしたのはお前だろ」
「…だから…お金で解決しようってわけね」
「お前がそう仕向けてる」





足元が冷え切って 凍えそうだ。

ゆっくりと立ち上がると

蒼くんが

私の手首をぎゅっと掴んだ。





「A、ごめん」
「…」
「…いてくれ」
「………て」
「え…」
「別れて」
「A…」





婚約指輪を

そっと蒼くんの目の前に置いた。

泣きだした女性が

か細い声で

ありがとうと呟いた。





「A…俺は別れない…お前だけなんだ」
「…」
「俺はお前を愛してるんだ」
「…」
「お願いだよ俺を捨てないでくれ、A」
「…さよなら」
「A…」





会社も辞めて

長年住み続けたアパートも解約した。

何もかも捨てたら

空っぽになれると思ったのに。





-Aさん、チャンミンをゆるしてね-





あの日受け取ったメモを見つけて

涙が零れた。





「チャンミン………っ……お願い…」





-おかけになった電話は電波の届かない場所にあるか…-





「たす………っ……けて」





何度架けても

同じアナウンスが流れる携帯を抱きしめて

チャンミンを思い出していた。

無意味な事なのに

素直になれなかったのは

私なのに。





こんな結末なんて

想像もしていなかった

そんな自分が馬鹿みたいで

結局

あの時も 今も 独りのまま。

023:すっごい人 CM→←021:空気が止まる音



目次へ作品を作る
他の作品を探す

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
468人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作成日時:2017年3月5日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。