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018:最悪のエンディング　CM ページ19

「ずっとお待ちですよ」
「…そうですか…もしかして泣いてたり…してませんでしたか？」
「いえ、いつも通り、静かに待っておられます」

本当にできた彼女さんですよね、

さすが芸能人の彼女さんってｶﾝｼﾞです。

この店はいわゆるそういう芸能人たちがお忍びでくるような店だ。

僕は当たり前に部屋のドアに手を掛けて

すこし開いた隙間から自分の恋人を見た。

どこにいても目立つそんな派手さはない。

だけど、彼女は誰に紹介しても絶対的な太鼓判を押されるほど

男にも女にも好かれる人間だ。

僕と正反対の彼女といると

僕は癒され安らぎ

そして幸福を感じられる一方で

だんだん大きくなる疑問を無視できなくなっていた。

Aさんは

一日の中でいつ完璧じゃなくなる時があるんだろう。

それは人に話しても理解してもらえない。

だけど僕は飢えていた。

どうしても見たかった。

彼女が崩れたり壊れたり

そして絶望を感じる時

その時僕は彼女にとってどういう存在となるのか。

ﾕﾉﾋｮﾝを支えるためと言うのは表向きの事情。

本当は

別れ話をすることで

もしかしたら Aさんが見せてくれるんじゃないかって。

歪んだ僕の思考を

僕自身が止められなかったんだ。

「僕は来れないと伝えてもらえますか」
「え」
「すみません、仕事が入ったので」
「…承知しました」

だけど

彼女は乱れることなく

背を正して僕からの伝言を聞いていた。

こんな状況でも

Aさんにとっての僕は

ただの子供だったのだ。

打ちひしがれた僕は

翌朝の便で国へ戻った。

すっかり電池の切れている携帯を充電したら

Aさんから

最後のﾒｰﾙが届いていた。

『ﾁｬﾝﾐﾝ元気でいてね…今まで本当にありがとう』

とうとう、僕は返信しなかった。

その携帯のﾃﾞｰﾀを全部消したのに

ただそのメールだけ消すことができなかった。

もしかしたら。

その想いに期待するように

古い携帯を解約できない。

**********

「本当に…バカみたい」
「…そう思うよ」
「最低だわ…」
「…そうだね」
「顔も見たくない…」
「A…さん」

僕が全てを打ち明けると

Aは静かにそう言って

僕の胸を突き返した。

「さよなら」

最悪のエンディングを迎えた僕は

広すぎる部屋で一人

まだ温かさの残る感触を

抱き締めた。