特別な赤色(🍎‪) (ページ8)

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ス「な、なんだお前」

『てめーこそなんだ、あ？それしまえ。変なことしたら許さねーからな。
あ、もしもし警察ですか？刃物で女性を脅すやつが現れて』

といつも優しいあらきさんとは別人のようなドスの効いた声でストーカーに怒り、そしてそのまま電話をかけるあらきさん。

ス「おい、いますぐ電話切らないと刺すぞ！」

『住所は○○…なるべく早く来てください。男の特徴は…』

ス「や、やめろっ」

やばい、あらきさんが刺されちゃう。そう思った瞬間に気づけば体が動いてた。

…痛。

右腕に鈍い痛みを感じる。

『A！！？お前！ふざけんなよ！！』

ブチ切れたあらきさんがストーカーを殴り、顎に直撃。
その一撃でストーカーはのびて、あらきさんは直ぐに私に駆け寄ってくれる。

『A、Aさん、大丈夫？俺のこと庇うなんてなんで…！救急車呼ぶから…！』

「呼ばなくても大丈夫、かすり傷ですよ」

ストーカーもビビってたのか、本当に大したことの無い怪我で、ちょっとした切り傷程度。

『あぁ、良かった、いや良くないか。すみません、判断間違えた、すぐにあいつ止めてれば…』

「なんであらきさんが謝るんですか。」

『助けに来たのに、庇われて傷つけさせちゃうなんて、俺ダサすぎ…』

「私にはヒーローに見えましたよ」

『ヒーローなんかじゃ…』

「ほら、赤ってヒーローの色だし笑」

『あぁ、これ？ヒーローの赤って言ってもこんな髪色のヒーローいないでしょう』

「ふふ、あは、はぁ…ふぇ、すみません、ぐすっ」

笑って少し落ち着くと、涙が急に止まらなくなる。

怖かった。

それは自分が死ぬかも、という恐怖じゃなくて、あらきさんを失ってしまうかもという恐怖。

あぁ私、あらきさんのこといつの間にかこんなに好きになってたんだなあ。

認めてしまえば溢れるあらきさんへの想い。

私、あらきさんが好きだ。

ギュッ

『Aさん、怖い思いさせてごめんな』

そんな想い人の腕に包まれて、こんな状況で不謹慎ながらも嬉しく思ってしまう私はやっぱり強欲だろうか。