特別な赤色(🍎‪) (ページ6)

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『はい到着〜』

「ありがとうございます、それじゃあ…」

『いや一応玄関まで送るよ、何があるかわからんし』

「すみません…」

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『じゃ、無事を見届けたしこれで！また明日ね』

「ありがとうございます」

また明日、その言葉にキュンと来てしまう。
また明日会えるんだ。

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そしてそんな感じで2週間ちょっと、
もう毎日迎えに来てもらってるうちに色々話す仲になっていて
最初はライブに関しての打ち合わせも兼ねて話してたけど、途中からプライベートなことになって
新しく猫を飼おうと思ってるけど鹿児島の子だから遠いだとか、
今度肉チョモの撮影でちょっと緊張するだとか、
次の髪色は何にしようだとか、
ポチギが洗いたての服に座って毛だらけになっただとか、
そんなたわいも無い話をしてく内に、その時間は私の中での1日の最後のご褒美の時間になっていた。

上司からのネチネチした嫌味も、ハードスケジュールからの疲れも、あらきさんと会える時間が私の中での癒しになっていた。

…気付かないフリももう限界だった。

でも認めたところでそれは許されないし、叶わないし、もう充分恵まれているのに、これ以上は望んではいけない。

それに迎えをしてもらうようになってもうすぐ3週間。

流石にあれからストーカーの被害は無いし。
そろそろ私からもう御遠慮しなきゃいけない。
いつまでも甘えてはいけない。

わかってる。

でもそしたらもう会えることは無いんだろうなあ。
ただのスタッフに戻ってしまうんだろうなあ。

…ただのスタッフに戻るも何も、別に今もただのスタッフか。

いつの間にか更に求めてしまっていた自分の傲慢さに腹が立つ。

せめて、１ヶ月までの間は甘えてしまおう。
だからあともう少しだけ、この幸せを堪能して、そこからはその思い出を胸にしまって今後もスタッフとしてあらきさんを支えよう。

それくらい許されないかな。

そう願う強欲な私を神様は許してくれなかったようで。

浮かれてる私に天罰が下った。