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五話。 ページ7

独歩side




広くて薄暗いホールには多くの人が舞台にこれでもかというほど詰め寄っている。


観客はまだ空っぽの舞台に向かって黄色い声をもうあげている。

他の観客のように積極的に舞台に詰め寄ったり黄色い声をあげたりすることこそ苦手ではあるがそれでも俺も彼らに負けないくらいの強い思いを持ってる。





「(も、もうすぐくる…!)」





ペンライトを握りしめ、人混みに押しつぶされそうになりながらもその視線は舞台から離さなかった。


突如、黄色い声が暴力的なギターの音で引き裂かれた。同時に観客の声が興奮じみた叫びへと変わる。ギターの音とともに舞台に出て来たのは、テレビの中でしか見てこなかった、好きな人が出てきた。







『今日もみんなで最高の1日にしよー!!!』








その掛け声とともに音楽は本格的に響きだし、観客は一層舞台に詰め寄る。




遠くからであまり顔は見えないが、歌だけは聞けた。

CDと比べ物にならないほどの歌唱力だ。耳だけでなく体全体から奥に無理やり押し入ってくるようなでもなぜか心地いい声。



俺は、ペンライトを握りしめ膝の震えを止めることが出来ないまま舞台に釘付けになっていた。























コンサートは最初から最後まで熱狂を保ち続け四時間で幕を閉じた。





「ああ、来れて本当よかった」
「もう最高!」
「やっぱりAは天才だ…」



観客達はこのように口々に感想を言いながら帰っていく。

けれど、俺は足がなかなか動かなかった。心臓がまだドクドクと鳴り止まない。






「あー、やっぱり好き……」





俺は、崩れるように座り込み、心の中の思いが自然と口に出ていた。



いつか、Aと直接話してみたい。



そう思うけれど、やっぱり俺なんかが話せるわけない。大体ファンがそんな簡単に近寄れる人物じゃないだろ。と虚しい気持ちになり、とぼとぼと家へと帰った。

六話。→←四話。



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- めっちゃ気になるところで終わった…神作を作る神様は消えてしまったようだ (2022年5月12日 22時) (レス) @page14 id: ac86c954c4 (このIDを非表示/違反報告)
ききき(プロフ) - すごいとこで終わったなあ笑笑 (2021年12月31日 10時) (レス) @page14 id: f1185728b3 (このIDを非表示/違反報告)
世成 - あれ、完結してる() (2021年8月6日 23時) (レス) id: fb31e5b43b (このIDを非表示/違反報告)
くま - え、めちゃくちゃ気になるとこで終わっちゃった爆笑爆笑 (2021年6月17日 18時) (レス) id: d8c64a6aa7 (このIDを非表示/違反報告)
カフェオレ中毒 - なんか凄い良いところで終わってて泣きそう() (2020年8月17日 21時) (レス) id: c0b9da0cd6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ラッキー | 作者ホームページ:ラッキー  
作成日時:2018年10月20日 20時

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