十ニ話。 ページ14
独歩side。
「はじめまして。麻天狼代表の神宮寺寂雷です。今日はよろしくお願いします」
「同じく、麻天狼代表の伊弉冉一二三ことMCGIGOLOです。お目にかかることができ光栄です」
「ははははじめましてあのその私観音坂独歩というしがないサラリーマンですきょきょ今日はよろしくお願いしますっっ!!!」
「あははっ、今日はよろしくお願いしますー」
Dステ、放送2時間前にどのアーティストよりも早く楽屋入りをした三人は到着したアーティストたちの楽屋挨拶に忙しくしていた。
本来ならお目にかかれないような歌手たちだらけで俺はガチガチに震え、盛大に噛みながら挨拶する。
そんな俺に対して他の二人は、いつもよりもイケメンオーラが漂い、落ち着いた雰囲気を保っている。
まあ、それもそうだろう。
元The Dirty Dawgのメンバーでテレビに引っ張りだこの先生とホストモードのコミュ力超絶たか男の一二三。
震えることがありえない二人だ。
あらかた挨拶が終わったところで一旦リハーサルに入り、スタッフへの挨拶も済ませ楽屋に戻り、俺はガチガチのままソファに腰掛けた。
「あとは、Aさんだけですね」
「そうだね。本来なら真っ先に挨拶をするべき人だったけれど、遅れてしまったね」
Aという単語を一二三が言っただけで俺の肩はビクッと反応した。
ほ、本当にあのAを生のおまけに近くで見るなんて。
しかも挨拶とか共演すること自体もう夢みたいだ。もし、失礼があったら…
ペットボトルを両手で持ちガタガタ震えた。
「独歩くん、緊張しなくても大丈夫だよ」
「そうだよ独歩。すぐ終わるさ」
そうだ。先生と一二三が言うとおりだ。落ち着こう。なんて、すぐに落ち着けるわけない…!!
ペットボトルから水があふれるほど手が震え、ズボンが濡れた。そしてスタッフの方から注意を受けた。
ああ、やっぱり俺なんてどこ行っても駄目だ。本当に迷惑なやつだ……
「独歩くん、気分を変えてほら挨拶の時間だよ」
「わ、分かりました…」
緊張が解けないまま強制連行された。
A様と書かれた楽屋の前に立つ。独歩はより一層顔を青ざめさせた。
こ、この先に、この扉の先に、Aが…!!
そう思うだけで俺の心臓は喉から飛び出そうだった。
「せ、先生やっぱり心の準備が、まだ」
俺が言い終わる前に既に先生はドアをノックした。
もう、逃げられないみたい、だな…。
続く (更新停止中) お気に入り登録で更新通知を受け取ろう
←十一話。
758人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ヒプノシスマイク」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆ - めっちゃ気になるところで終わった…神作を作る神様は消えてしまったようだ (2022年5月12日 22時) (レス) @page14 id: ac86c954c4 (このIDを非表示/違反報告)
ききき(プロフ) - すごいとこで終わったなあ笑笑 (2021年12月31日 10時) (レス) @page14 id: f1185728b3 (このIDを非表示/違反報告)
世成 - あれ、完結してる() (2021年8月6日 23時) (レス) id: fb31e5b43b (このIDを非表示/違反報告)
くま - え、めちゃくちゃ気になるとこで終わっちゃった爆笑爆笑 (2021年6月17日 18時) (レス) id: d8c64a6aa7 (このIDを非表示/違反報告)
カフェオレ中毒 - なんか凄い良いところで終わってて泣きそう() (2020年8月17日 21時) (レス) id: c0b9da0cd6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ