稲妻 ページ7
「あ、Aさん」
休憩になり水を飲みに来たヒョンジュンがびっくりした顔で近寄ってくる。
なんでここにいるんだろうって顔だ。
「マネージャーに頼まれて差し入れを持ってきたんだ」
ああ〜！と納得した顔をする。顔には汗が滲んでいた。
「今見てたよ。すごいね、いいミュージックビデオになるよ」
「本当にまだ夢を見ているみたいで。でも現実なんですよね。僕達がデビューするなんて…」
2人で話していると他のメンバーが驚いた顔で駆け寄る。
「お？誰だったっけ」
整えられた銀髪が光る。イ・ハンギョルだ。
「ハンギョリヒョン…。Aさんですよ。ほら宿舎の〜。一昨日挨拶してたでしょ」
「ああー！そうだ、そうだった。ごめんな〜」
なんでここに？と聞くハンギョルにヒョンジュンと同じ説明をする。すると、数分の休憩を終えてもうすぐ撮影を再開すると号令がかかった。
数秒言うか迷ったが、あのさ、とヒョンジュンを呼び止める。
「Aさんは恥ずかしいから、その、ヒョンと呼んでくれたら嬉しいなと思って」
少し俯いてそう言うと、口を開けてポカンとした顔の後「はい！」とヒョンジュンが笑った。
「撮影に戻りますね」
じゃあ、と手を振ってくれる。私も軽く手をあげる。
自然と口元が緩む。
散らばっていたメンバーはすぐに集まり先ほどと同じフォーメーションを組んでいた。
ヒョンと呼んで欲しいだなんて…。
会ってそんなに経ってないのに馴れ馴れしかっただろうか。そんなことを考えたが、すぐに撮影が始まりスタジオ中に音楽が響き渡るとそんな考えはやめた。
いいな、と思った。
仲間がいて、夢がある。
私にはないものばかりだ。
しばらく人と関わることがなかったから、宿舎の仕事を通して彼らと交わす挨拶が私を温かい気持ちにさせてくれた。
あのまま事務所にいたら私の夢は叶っていたのかな。
今の私は兄の亡霊に隠れて、生きているようなものだ。
私って、なんなんだろう…。
大きな音をぼんやりと聞きながら、そんなことを考えた。
俯いてはらりと落ちた長い前髪が、私の顔を覆い隠した。
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cham-chi(プロフ) - すずさん» コメントありがとうございます！今更な気もしたんですがそう言って頂けて本当に嬉しいです。励みになりました！！読んでいただいてありがとうございました！！ (2020年9月16日 11時) (
レス) id: 019756ae7d (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - X1の作品が少なくなり寂しい思いをしていまきたが、更新通知が来るたび、まだまだ私のように応援している人がいるんだなと思い嬉しくなりました。素敵な作品に出会えて嬉しかったです！これからも頑張ってください(^^) (2020年9月16日 2時) (レス) id: 70fff2cd4d (このIDを非表示/違反報告)
cham-chi(プロフ) - カナル式さん» カナル式様＞コメントいただけて凄く嬉しいです！今更書くのはどうなんだろうと迷っていたんですがそう言っていただけて書いた甲斐がありました。下手くそな文章ですがもう少しお付き合いください。いつもありがとうございます。 (2020年9月11日 7時) (レス) id: 019756ae7d (このIDを非表示/違反報告)
カナル式(プロフ) - この作品すごく好きです！ 今はX1の作品があまり無いのでこうやって更新して下さるのが嬉しいです！これからも続きを楽しみにしています(*^^*) (2020年9月11日 0時) (レス) id: 0d79bc4d43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：cham-chi | 作成日時：2020年9月5日 0時
