前髪 ページ4
「こんにちは…」
事前に教えてもらった暗証番号を打ち込み、重いドアを開ける。
寮というよりぱっと見はほぼ一軒家のようなものだ。
「おお、久しぶり」
「お元気でしたか」
半年ぶりの叔父がそこに立っていた。握手をすると肩を叩かれる。
「姉さんのところには行ったのか？」
「いえ、まだなんです。先に荷物を置いて挨拶をしたくて」
そう言いながら辺りを見回す。何人くらい住んでるんだろう。シューズボックスには靴が溢れている。
「そうか、まあ元気にはしているよ」
母は変わらず、という意味だ。
半年も会っていないけど叔父から電話で近況は聞いていた。「私」が会いに来るのを待っていると。
「秘密の守れる人を探してくれと頼まれたから、守秘義務とかいろいろあるが…。お前なら大丈夫だろう」
「何人くらい住んでいるんですか？」
「伝えてなかったか？11人だ。明後日がミュージックビデオの撮影だから今日は全員スタジオで練習しているよ」
ミュージックビデオ？
撮影？
11人？
初めて聞く情報に驚いてボストンバッグを落とした。
「一般人が住んでるんじゃないんですか？学生とか」
「ああ、言ってなかったか。アイドルだよ。ほら知らないか？テレビでやってただろう」
PRODUCE X 101。
聞き覚えのある名前が出る。プロデュース101…プデュってやつだ。
「えっ！アイドルの宿舎なんですか、ここ！」
「おっと！言い忘れてたか。ここの担当者と知り合いでお前を紹介したんだ」
アイドルの宿舎。
アイドルという言葉に少しだけ動揺をした。
落ち着け…。
割りのいい仕事だから、仕事だと割り切ってやれば大丈夫…。
「ちょうど帰ってきたな」
ガチャリとドアが開く音がして長身の男が入ってきた。マスクをしている上に逆光で顔がよく見えない。
「あ〜おじさん、いたんですね。こんにちは」
礼儀正しく頭を下げる。前髪から一重で細い目が覗き、私を見てマスクを外す。
「紹介するよ、ここの管理を任せる私の甥だ。よろしく頼むよ」
「初めまして、ハン・スンウです」
骨張った、男らしい手を差し出す。慌てて手を服で拭い握り返した。
「初めまして、Aです。よろしくお願いします」
「前髪が長いね」
一重の目をスッと細め、彼は笑った。
ハン・スンウ。
「スンウヒョン〜。ヒョンだって前は長かったじゃないですか〜」
後ろから少し背の低い男の子が顔を覗かせる。
ぽってりとした唇がにっこりと弧を描いた。
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cham-chi(プロフ) - すずさん» コメントありがとうございます！今更な気もしたんですがそう言って頂けて本当に嬉しいです。励みになりました！！読んでいただいてありがとうございました！！ (2020年9月16日 11時) (
レス) id: 019756ae7d (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - X1の作品が少なくなり寂しい思いをしていまきたが、更新通知が来るたび、まだまだ私のように応援している人がいるんだなと思い嬉しくなりました。素敵な作品に出会えて嬉しかったです！これからも頑張ってください(^^) (2020年9月16日 2時) (レス) id: 70fff2cd4d (このIDを非表示/違反報告)
cham-chi(プロフ) - カナル式さん» カナル式様＞コメントいただけて凄く嬉しいです！今更書くのはどうなんだろうと迷っていたんですがそう言っていただけて書いた甲斐がありました。下手くそな文章ですがもう少しお付き合いください。いつもありがとうございます。 (2020年9月11日 7時) (レス) id: 019756ae7d (このIDを非表示/違反報告)
カナル式(プロフ) - この作品すごく好きです！ 今はX1の作品があまり無いのでこうやって更新して下さるのが嬉しいです！これからも続きを楽しみにしています(*^^*) (2020年9月11日 0時) (レス) id: 0d79bc4d43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：cham-chi | 作成日時：2020年9月5日 0時
