邂逅 ページ30
その日はいつになくぐっすりと眠れた。
起きてパジャマを脱いで、胸を潰すためのインナーを着る。
ダボっとしたパーカーを着て、髪をとかした。
鏡を見る。
私だ。
私が映っている。鏡をなぞった。
それから早めに仕事を済ませて、宿舎に残っているメンバーのために朝ごはんを作った。
ドヒョンが白米をたくさん食べた。
ハンギョルは何度起こしても起きなくて、ドヒョンが大声で何度も起こしてやっと起きてきた。
眠そうなドンピョとウンサンが起きてくる。
ウソクはコーヒーだけ飲んでいる。
「今日の夜、予定ある？」
「会社にみんなで行くと思いますけど…どうしてですか？」
ご飯を食べながらウンサンが顔をあげる。
「話したいことがあるからみんないたらいいなと思って」
「多分全員で行くから夜なら集まれるんじゃないですか？」
ね、ヒョン、とドンピョがウソクに話しかける。あぁ、そうだねと気のない返事。
「なら夜みんな集まって欲しいって伝えて欲しいんですけど」
「オーケー」
そう言いながらまたウソクが私を意味ありげに見つめる。
(以外とみんな知ってるのかもしれない)
女だということ。
この5ヶ月女と同居していたなんて知ったら気味悪がるのが当然だ。
全員が食べ終わって部屋に着替えに行ったタイミングでまだコーヒーを飲んでいたウソクと2人きりになる。
私は黙々と皿を洗うが彼はじっと見つめる。そしてようやく口を開いた。
「あのさ」
「はい…？」
キッチンのシンクまでコーヒーのカップを持ってくる。中はすでに飲み干したコーヒーが乾いていた。
「前に店であったの覚えてる？」
「あ…」
ジュギョンに頼まれて働いた時のことだ。
彼は私だと分かっていたのか。
「そんなびっくりしなくても…。誰にも言ってない。そうかな？って思ってたけど、当たりだったみたいだ」
「バレてたんですね…」
「似てるとは思ったけどメイクしてるから一瞬分からなかった。ずっと言いたかったけどタイミングなくてさ」
顔を見るに見れなくて目を伏せる。
ウソクの細い指がシンクの淵をなぞった。
「好きに生きたらいいよ。それが言いたかった」
「ヒョン」
「また夜に」
それだけ言うと部屋へ戻っていった。
(いい人だなあ…)
言葉は少なくても、伝わった。
そんな人たちを騙していたのが恥ずかしい。
今夜きちんと話そう。
そして伝えたい。
会えてよかったと。
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cham-chi(プロフ) - すずさん» コメントありがとうございます！今更な気もしたんですがそう言って頂けて本当に嬉しいです。励みになりました！！読んでいただいてありがとうございました！！ (2020年9月16日 11時) (
レス) id: 019756ae7d (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - X1の作品が少なくなり寂しい思いをしていまきたが、更新通知が来るたび、まだまだ私のように応援している人がいるんだなと思い嬉しくなりました。素敵な作品に出会えて嬉しかったです！これからも頑張ってください(^^) (2020年9月16日 2時) (レス) id: 70fff2cd4d (このIDを非表示/違反報告)
cham-chi(プロフ) - カナル式さん» カナル式様＞コメントいただけて凄く嬉しいです！今更書くのはどうなんだろうと迷っていたんですがそう言っていただけて書いた甲斐がありました。下手くそな文章ですがもう少しお付き合いください。いつもありがとうございます。 (2020年9月11日 7時) (レス) id: 019756ae7d (このIDを非表示/違反報告)
カナル式(プロフ) - この作品すごく好きです！ 今はX1の作品があまり無いのでこうやって更新して下さるのが嬉しいです！これからも続きを楽しみにしています(*^^*) (2020年9月11日 0時) (レス) id: 0d79bc4d43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：cham-chi | 作成日時：2020年9月5日 0時
