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秘密 ページ27

朝起きて、パジャマを脱いで、締め付ける様に胸を潰すためのインナーを着る。
ダボっとしたパーカーを着て、髪をとかす。
前髪を切ってから、少しだけ伸びた。もう目にかかりそうだ。

毎日、儀式の様に鏡を見つめる。
鏡に映る、この人は誰なんだろうか。男でもない、兄でもない。

(側からみたら、気持ち悪い。こんなの)

いつまで続ければいいのだろうか。いつか、母が兄の死を受け入れたらそこで終わるのだろうか。

母はずっと優秀な兄だけが自慢で、可愛くて、兄にしか興味のない人だった。
それが兄が死んで正直、今度こそ私のことを見てくれると思った。

(私も十分ずるくて、気持ち悪い)

そう思ったのに、現実は違った。
兄が死んでも母は兄しか見ていないし、私のことは見ようともしない。
だから兄のフリをしてでも母に見て欲しかった。自分を消してでも、それでよかった。


(でも…どうしよう…)

彼らに出会って、話して、一緒に生活して。
人生の中心は母だったけれどこんなにも私を受け入れて、認めてくれる人達と出会ってしまった。
また夢を追いかけたいと思ってしまった。

いつかは分かってしまう。もうスンウにもバレている。

(このままでいいのかな)

ずっと嘘をつき続けてそばにいるのが正しいのか。
私の全てを暴いたら、ずるいままの私を受け入れてくれるのだろうか。

この先、どうなるか分からないがそばにいたい。
近くで彼らを見守りたい。

うまく答えが、出ない。


「入ってもいいですか?」

隙間から明かりが漏れるドアをノックした。
返事と共にそっとドアを開ける。

「どうしたの、こんな夜中に」

「スンヨニヒョン」

部屋の中にはモニターに向かうスンヨンがいた。
2つあるうちのベッドの一つは人が寝ている。ハンギョルだ。


「遅くにごめんなさい。話したいことがあって」

「いいよ、大丈夫。どうしたの」

「前に言いましたよね、いつか私が、私の抱えてる物を話してくれたらいいって」

「言ったよ」

「聞いてくれますか」

私の話を。

スンヨンが椅子に体育座りをする。私は空いているスンヨンのベッドに腰を下ろした。

ハンギョルの寝息と、パソコンのモーター音が部屋に響いている。

どうして彼に話そうと思ったのか。
よく分からない。
だけど彼なら受け止めてくれると思った。私のずるさも、卑怯さも。

優しくて、思慮深くて、ユニークで。
いろんな一面のあるチョ・スンヨン。

まず、彼に打ち明けることにした。

告白→←泣かないで



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作品ジャンル:恋愛
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cham-chi(プロフ) - すずさん» コメントありがとうございます!今更な気もしたんですがそう言って頂けて本当に嬉しいです。励みになりました!!読んでいただいてありがとうございました!! (2020年9月16日 11時) (レス) id: 019756ae7d (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - X1の作品が少なくなり寂しい思いをしていまきたが、更新通知が来るたび、まだまだ私のように応援している人がいるんだなと思い嬉しくなりました。素敵な作品に出会えて嬉しかったです!これからも頑張ってください(^^) (2020年9月16日 2時) (レス) id: 70fff2cd4d (このIDを非表示/違反報告)
cham-chi(プロフ) - カナル式さん» カナル式様>コメントいただけて凄く嬉しいです!今更書くのはどうなんだろうと迷っていたんですがそう言っていただけて書いた甲斐がありました。下手くそな文章ですがもう少しお付き合いください。いつもありがとうございます。 (2020年9月11日 7時) (レス) id: 019756ae7d (このIDを非表示/違反報告)
カナル式(プロフ) - この作品すごく好きです! 今はX1の作品があまり無いのでこうやって更新して下さるのが嬉しいです!これからも続きを楽しみにしています(*^^*) (2020年9月11日 0時) (レス) id: 0d79bc4d43 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:cham-chi | 作成日時:2020年9月5日 0時

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