泣かないで ページ26
久しぶりに会ったヨハンに「漢江に落ちたってまじで？」と聞かれて本当だと言うとドン引いていた。
「私も落ちたくて落ちたんじゃないんだけど」
「いやでも、無事でよかったな？」
口元がニヤリと笑う。「今度落としてあげようか」と言うとそそくさと逃げようとする。
「今日遅くなるから、みんなご飯いらないと思う」
「本当？スケジュールは何も入ってなかったけど」
少しだけヨハンが困った様に笑う。
「あ、話し合いか」
「そんなところ」
「…終わりそう？話し合い」
「どうかな。分からない」
いってらっしゃいと声をかける。ヨハンが出て行ってしまうとまた宿舎には誰もいなくなった。
それから、夜になっても誰も戻って来なかった。
買い物を済ませて掃除をして、ベランダから洗濯物を取り込んでいると後ろから声をかけられる。
スンウが帰ってきた。
「大丈夫だったか？風邪ひいてたんだろ」
「おかえりなさい。大丈夫です」
みんなは？と聞くと「まだ会社」と返ってくる。
「悪かったな昨日。スンヨンか誰か来てくれた？」
「はい。連絡してくれてありがとうございました」
「昨日はどうしても抜けられなくて…でもまあ、良かったよ。元気になって」
「話し合い…どうですか…？」
意を決して聞いてみた。
「んー。どうかな。気持ちは伝えたけど、あとは会社と事務所の判断かな」
疲れた顔をしていた。リーダーとして今までどれだけ大変だったか。良い方向に向かえばいいと思っていたが、彼の顔から話し合いはあまり良い方向ではないと分かってしまった。
悔しい。
今まで苦労をしてきたのを間近でみているからこそ、悔しくて、やるせない。
自然と涙が溢れて、零れ落ちた。手に持っていたタオルで顔を覆う。
「おい、泣くなよ。泣くなって。まだ決まったわけじゃない」
「わ、分かってますけど、なんで、なんでこんな報われないんですか」
それが悔しい。
必死に嗚咽を堪えていると、ふいに強く抱きしめられた。
ふわりと柔軟剤の香りが漂う。
「泣くなよ。この先何があっても、それで終わりじゃない。大丈夫だから」
それに、と付け足す。
「お前がどうして男の姿で働いてるのかとか、お前のこと全然知らないし。これから知っていけたらいいと思う」
そして私の髪をかきあげて、おでこにキスをする。
「ありがとう、俺たちのことを好きでいてくれて、ファンでいてくれて」
泣き止むまで、スンウはそれ以上何も言わず私を抱きしめた。
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cham-chi(プロフ) - すずさん» コメントありがとうございます！今更な気もしたんですがそう言って頂けて本当に嬉しいです。励みになりました！！読んでいただいてありがとうございました！！ (2020年9月16日 11時) (
レス) id: 019756ae7d (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - X1の作品が少なくなり寂しい思いをしていまきたが、更新通知が来るたび、まだまだ私のように応援している人がいるんだなと思い嬉しくなりました。素敵な作品に出会えて嬉しかったです！これからも頑張ってください(^^) (2020年9月16日 2時) (レス) id: 70fff2cd4d (このIDを非表示/違反報告)
cham-chi(プロフ) - カナル式さん» カナル式様＞コメントいただけて凄く嬉しいです！今更書くのはどうなんだろうと迷っていたんですがそう言っていただけて書いた甲斐がありました。下手くそな文章ですがもう少しお付き合いください。いつもありがとうございます。 (2020年9月11日 7時) (レス) id: 019756ae7d (このIDを非表示/違反報告)
カナル式(プロフ) - この作品すごく好きです！ 今はX1の作品があまり無いのでこうやって更新して下さるのが嬉しいです！これからも続きを楽しみにしています(*^^*) (2020年9月11日 0時) (レス) id: 0d79bc4d43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：cham-chi | 作成日時：2020年9月5日 0時
