シャワー ページ23
「お前…鈍臭かったんだな」
「ヒョンジュンはAはダンスが上手い言ってたけど?」
まるで漫画の様に川沿いを転げ落ち、冬の漢江に落ちた私を3人が引っ張り上げてくれた。私は胸まで水に浸かり3人は腰まで浸かってしまい周りにいた人がタオルやら毛布やらを持ってきてくれた。
タクシーのおじさんにたくさん謝りながらなんとか乗せてもらい、宿舎に帰ってきた頃には4人ともすっかり冷え切っていた。
「ご、ごご、ごめん」
「お前が一番寒いよな。早く着替えてシャワー浴びてきな」
寒すぎて上手く喋れない。震えながら靴を脱いでいるとスンウが何枚かタオルを投げて寄越す。
ハンギョルとスンヨンがくしゃみをしているのを見てまた謝った。
(みんなはアイドルなのに)
体調管理が命のアイドルに風邪をひかせたなんてこと、あってはならない。何度も何度も謝りながらお互い取り合えずシャワーを浴びる。
かじかんだ手でシャワーのコックを捻ると暖かいお湯が頭から降り注ぐ。少し痛い様に感じるが段々体が温まってくる。
とんでもないことになってしまった。
髪についた藻を落としながらシャワーを浴びた後、頭にタオルを載せバスルームから部屋に出る。ズボンを履いたあと、もう一度手で顔を覆った。深くため息をつく。
(みんなが風邪をひいてないといいけど…)
さっさと服を着て様子を見に行こう。そう思った瞬間、部屋のドアがノックされる。
「A〜!お前のところタオル余ってる?」
コンコン、ガチャ、とノックから2秒でドアが開く。頭からタオルがずり落ちて肩にかかる。
ハンギョルの声だ。
振り向けない。
上半身に何も身につけてないからだ。
「ハンギョラ、俺のタオル使えよ」
ハンギョルの声がしてすぐに、背後でスンウの声がした。
「お!ありがとうございまーす」
ドアが閉まる音がする。
まだ背後にスンウの気配がして動けない。
「お前な、油断しすぎ」
それだけ言うと彼も出て行った。
(び、っくりした…)
あのタイミングでスンウが来てくれなかったらと思うと、ゾッと背筋が寒くなる。
(いやでも、ハンギョルに後ろ姿は見られた)
考えていても仕方ないので急いで服を着て部屋を出る。
ドアの横にはスンウが腕を組んで立っていた。
「ヒョン…」
「髪の毛、ちゃんと乾かせよ」
「ごめんなさい、ありがとう」
「別に」
彼はそのまま立ち去った。
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cham-chi(プロフ) - すずさん» コメントありがとうございます!今更な気もしたんですがそう言って頂けて本当に嬉しいです。励みになりました!!読んでいただいてありがとうございました!! (2020年9月16日 11時) (レス) id: 019756ae7d (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - X1の作品が少なくなり寂しい思いをしていまきたが、更新通知が来るたび、まだまだ私のように応援している人がいるんだなと思い嬉しくなりました。素敵な作品に出会えて嬉しかったです!これからも頑張ってください(^^) (2020年9月16日 2時) (レス) id: 70fff2cd4d (このIDを非表示/違反報告)
cham-chi(プロフ) - カナル式さん» カナル式様>コメントいただけて凄く嬉しいです!今更書くのはどうなんだろうと迷っていたんですがそう言っていただけて書いた甲斐がありました。下手くそな文章ですがもう少しお付き合いください。いつもありがとうございます。 (2020年9月11日 7時) (レス) id: 019756ae7d (このIDを非表示/違反報告)
カナル式(プロフ) - この作品すごく好きです! 今はX1の作品があまり無いのでこうやって更新して下さるのが嬉しいです!これからも続きを楽しみにしています(*^^*) (2020年9月11日 0時) (レス) id: 0d79bc4d43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:cham-chi | 作成日時:2020年9月5日 0時