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心細さに愚図る私の隣にいつの間にか立っていて、優しい声で慰めてくれた。彼の「大丈夫」はとても心強くて、不器用に頭を撫でていく大きな手のひらが心地よかった。彼は一瞬で私に安心を齎してくれた。
「ちょっと待てる？」
すぐ戻ってくるよ。
私の目元に、皮の厚い手のひらが重なる。暖かい。
それからじわじわと熱が広がって…私はいつの間にか寝ていた。
次に目を覚ました時、暗闇でも分かるくらい酷く慌てた祖父の表情が目に飛び込んできた時。それはもう驚いたものだ。その時、彼の姿は無くて。おいおいと泣きながら謝る祖父に抱かれながら、私は何度も彼の存在を祖父に確かめた。
帰ってくるのは感嘆と妙な納得の声で、その時は「そうか、助けてもらったんだな」とほほ笑むだけだった。
それから日を置いて、何度かしんぺいさんに会った。再会は八割方唐突で、彼は風か水を思わせる人である。自由人でおおらか、好きな様にうろつき、それから人の話を聞くのが好きな人。
親戚かと思っていた時期もある。しんぺいさんを探して居場所を聞いたことがあるが、祖父以外は首を傾げていた。唯一知っているような素振りをしていた祖父は、「探さずとも会えるよ」としか言わないものだから当時の私はヘソを曲げそれはもう不機嫌になった。
それをしんぺいさんに話したらケラケラ笑われてしまったが。
とにかく彼は不思議な人だ。
何時も着流しを着ているし、伏目がちで虹彩の色も見た事が無い。笑う時はいつも瞼をぎゅ、として笑う。時々、ほんの一瞬目が合う時があるが、その時はなぜか緊張する。
太陽を閉じ込めたような、色の渦が見えるからだ。
しかしそんな彼とも実に十年振りである。
久々に視界に収める彼は相変わらず伏目がちだった。
「じいさんに頼まれてなぁ。心配だったんよ、A。」
『おじいちゃんに？』
そうそう。そう言いながらしんぺいさんはガラス細工でも触っているのかと見間違うほど優しく机に指を添わせ、それから再度私の前に立ち止まった。さっきよりも距離が近い。背後に太陽を飼うしんぺいさんは逆光のせいか、圧とも言い切れない不思議な感覚を醸し出している。
「キミを、護ってくれって。」
目が、合う。
初めてしっかりと見た彼の瞳は虹色が歪んだような、言い表し難い色彩をしている。しかしそれもすぐに瞼の裏へと隠れ、それからそっと私の手を攫って行く。あの時と同じ温もりだ。
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都築(プロフ) - 失礼します。完結おめでとうございます!!めちゃくちゃ好きだったので完結と聞いてちょっと残念です。次の作品も楽しみにしてます。 (2021年7月10日 0時) (
レス) id: e5f03274fe (このIDを非表示/違反報告)
都築(プロフ) - 続々編？おめでとうございます!!更新再開してくださって嬉しいです。これからも応援してます。体調には気をつけて頑張ってください。 (2021年4月3日 18時) (レス) id: e5f03274fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：チャムチャム
| 作成日時：2021年4月2日 23時
