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彼は前世でも事あるごとに絡んできた面倒くさい男である。
勝手に頬を突いてきたり、邪魔をしてきたり。小学生の頃からそのよく回る口で散々転がされてきた。…正直言ってあまり良いイメージが無い。
「ほら、中入ろ？俺の艶々な毛が凍ってまう。」
催促する猫のように彼の―狐姿ではあるが―鼻頭が左の頬を突く。
私はそんな彼の行動にハッとして数分間のフリーズからやっと解放されたのだった。
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今ではすっかりこの奇妙な関係にも慣れて…いや、寧ろ首元にこの感触が無ければ違和感を覚える程に馴染んでいた。普段は素知らぬ顔をしてファーの役目を全うするオスマンは、周囲に人が居ない事を大きな耳で感じ取ると直ぐに口を開く。
零れ出てくるのは面白おかしい語り口の貴族の悪口だ。
「さっきの貴族さん鼻が利かない様で困ってまうわ…。娼婦かと思った」とか「嫌味な視線やったな」とか「さっきのと距離近ない？」とか。ここ最近は余計なことまで言うようになった。
そんな時は彼の小さな頭をグシグシと押し付ける様に撫でてしまえば良い。勢いに押されて文句も満足に言えなくなる。
二十歳になるまでの数年で、私も随分とこの困った男の扱いに慣れたものだ。今では口喧嘩の勝率は良くて半々と言った所か。口が減らないのはお互い様だが、この気負わなくていい関係が私の中では非常にありがたかった。
「野生動物として生きるのは現実的じゃ無いしなぁ…このままAのファーになるわ」
『…ソウデスカ。』
そんなとんでも発言からも年月が経った訳だが…。
彼は彼で落ち着き過ぎでは無いだろうか。
仮にも元人間が、「目覚めたらいきなり狐になっていて野生の世界じゃ生きていけないから貴族のお飾りになりに来ました。あ、たまたま毛皮として運ばれた先が知り合いだったラッキー！じゃあここで一生ファーとして生きよう！」とはならないだろう。
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都築(プロフ) - 失礼します。完結おめでとうございます!!めちゃくちゃ好きだったので完結と聞いてちょっと残念です。次の作品も楽しみにしてます。 (2021年7月10日 0時) (
レス) id: e5f03274fe (このIDを非表示/違反報告)
都築(プロフ) - 続々編？おめでとうございます!!更新再開してくださって嬉しいです。これからも応援してます。体調には気をつけて頑張ってください。 (2021年4月3日 18時) (レス) id: e5f03274fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：チャムチャム
| 作成日時：2021年4月2日 23時
