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§18§ ページ18
「……はい」
予想していた通りの返答にルチルは頷いた。陽光色の髪が縦にさらりと揺れる。
次の瞬間イリクが目にしたのは信じられない表情だった。
満面の笑顔。
「ありがとうございます」
そんなこと、言わなくていいのに。
今にも泣きたいだろうに。
彼女は何事もなかったように「昨日の分も勉強しましょう」と教科書を開いた。
それからルチルはいつも通りに接していく。イリクの動揺を置き去りに。
何をどうしたかなんて、その日のことはよく覚えていない。
ただ、ルチルは最後まで笑顔だった。
「さようなら、気をつけて」
イリクが言った何気ない一言を、ルチルは一体どう受け止めたのだろうか。
イリクにはわからない。
ただ、家に帰って気がつくと、ぼろぼろと涙を流していた。誰に見られているとは関係なく、目から生まれる滝は止めどなく流れ続けた。
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作者名:瑠色 | 作成日時:2017年10月2日 23時