第5話 ページ7
林立する鳥居を抜けて本殿に戻ってきた。ここで僕の頭の中にとっておきの作戦が思い浮かぶ。これならツーショットが確実に狙える、と確信が持てるほどの作戦である。早速実考しよう。まず僕はケータイのカメラを起動し、彼女に向ける。もちろん彼女は後ろに避難する。この瞬間、僕は笑顔を作りつつインカメラに切り替える。そしてシャッターを…ってあれ?画面に彼女が写ってない…?なぜ…?と後ろを振り向くと、ほおを膨らませながらしゃがみこんでいる彼女と目があった。なんという回避術。あとで彼女から聞いたが、今回の作戦は友達にもされたことがあるのだそうだ。結構いい作戦だとは思ったんだけどなぁ…。残念。今回も見事に避けられました…。
その後、夜ご飯を食べて各々帰宅。家まで送ったあと「今日はありがとう。楽しかった!」とメールが送られていた。こっちがありがとう、だよ。ほんとに。
返信を考えているあいだに彼女からもう一件。「写真は絶対に撮らせてあげないからね」僕の頭の中は全部お見通しってわけか。「すいません、こしゃくな手をつかって。次からはもっと巧妙にツーショットを狙いに行きます!」
心の声が漏れていたようだ。知らぬ間にそんな文面が自分のケータイに打ち込まれている。手が滑って送信ボタンを押してしまった。なにやってんだろ、僕。
返信が来る前に寝てしまおう。絶対に怒られる。
次の日ビクビクしながらメールを見ると「あなたがその気ならこっちもあらゆる手をつかって撮影妨害してあげる」と返ってきていた。おお?意外と乗り気?次のデートが楽しみだ。
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作者名:チャルさん x他3人 | 作成日時:2020年3月30日 23時