敦賀編 第1話 ページ17
結局あのデート以来彼女は滋賀県がすっかり好きになってしまったようだ。ただ滋賀に二回行く気はあまり起こらないらしい。なんでだ。そういう彼女の意見をくみ取り、今回は敦賀に行ってみることにした。敦賀観光はレンタサイクルが必須アイテムだ。観光スポットが思っているよりも散在し、さらにどれも駅から若干遠いのだ。さすが敦賀、そのことをわかっているのかレンタサイクルの貸し出し所がやたらときれいだ。早速自転車にまたがり海へ向かう。そこには日本三代松原、気比松原があるのだ。隠れた絶景として僕が前々からチェックしていた場所だ。砂と松原の緑と白のコントラスト。爽やかな潮風。想像していた通りの絶景だ。トビが円を描きながらゆっくりと上昇している。まるで時がゆっくりと流れているかのように穏やかな風景。あまりの美しさに僕は言葉を発せなかった。彼女もこの景色を気に入ったようだ。2人で砂浜に腰を下ろす。サラサラと風になびく彼女の髪が美しい。見ててうっとりする。お腹がすいてきたと思ったら気づけばもう昼時だ。せっかく敦賀にきたんだ。日本海さかな街で海鮮丼でも食べようか。
心地の良い風と日差しを浴びながら海鮮丼を食べに移動する。丼のことを考えすぎてもうお腹が始終鳴りっぱなしだ。彼女も海鮮丼は好きらしい。おいしいといいのだが。
さかな街に着く。思っているより市場感が強い。新鮮な魚やカニが無造作に並べられている。スーパーで並ぶのとはまた質が違うね、と喋りながら店の方へ歩いていく。僕はカメラで魚をバシバシと撮っていく。さすが彼女、毎回僕の真後ろに立ってカメラの画角に入らないように懸命だ。魚介の香りがさらに空腹感を加速させる。早く昼ご飯を食べないとおかしくなりそうだ。
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作者名：チャルさん x他3人 | 作成日時：2020年3月30日 23時
