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こんな顔じゃ教室に戻れない。
5限目はサボることにして、友達に保健室に行ってるとメールした。
詩乃は今日は講義がないから大丈夫だと言ってくれ、電話を繋いだままだ。
「まずは、お母様の血を調べましょう。
『うん...。』
「それから、鬼だとわかったら調査部の方で保護しましょう。」
『え...?』
「鬼を人間に戻す薬の治験の為の実験体...という形になりますが。」
『実験体...。』
「はい。リスクもあります。失敗して消失させてしまった例もあります。あと...実験体として保護できるのは血気術を使わない鬼のみなんです。」
『!』
無惨の血を、鬼として高等な血をそのまま母が持っているとしたら...
血気術を使える可能性が高い。
保護したとして、完全に鬼になり、血気術を使うようであれば倒さねばならないということ。
希望の光が遠退いた気がした。
でも、詩乃の懸命な気遣いは嬉しかった。
『詩乃...ありがとう。でも、そんな、特別扱い、許してもらえるのか...。』
「なっ、当たり前じゃないですか!柱として前世も今世も戦いに身を投じて...!失ってばかりじゃ辛すぎます!!少しぐらいワガママ言ったってバチは当たらないはずです!!」
息巻く詩乃に薄く開いた口が塞がらなかった。
「あっ、す、すみません。少し取り乱しました。」
『んーん。前より感情が表に出やすくなってることはいいことだと思う。』
しのぶだったら、言うことは同じでもおっとりしたままだったんじゃないかな。
さっきまで絶望してた私だったけど、お陰で元気出た。
お母さんの血を採取するための道具を今晩手配するからと詩乃。
再びお礼を言って、長電話を終わりにした。
.
.
影山side
「こないだは悪かった。」
HRのあと、すぐにAの席に行って謝った。
『え、いや、私こそ。』
確かさっき、保健室行ってたんだよな、こいつ。幼稚園の時からこいつは風邪とか引いて休んだのを見たことがねぇ。
前に頭痛で倒れたりだとか、保健室で休むとか珍しい。
「...具合、悪いのかよ。」
『もう大丈夫。』
いつもなら笑ってばっかで俺の目を見てちゃんと話すのに、今日は笑ってねぇし目も合わせねぇ。
「本当に大丈夫か?」
一息ついたと思ったら、なんか変な笑顔を俺に向けた。
『変な飛雄。本当に大丈夫だって!で、どうしたの?いつもならもう教室にいないのに。』
気のせいか...?
「...止まるトスの練習に付き合ってくれ。」
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マキ(プロフ) - 無気力なおバカさん» ありがとうございます!ちょっと今お休みしてますが時間できたらまた頑張ります!! (2020年5月23日 9時) (レス) id: 1bf06ece70 (このIDを非表示/違反報告)
無気力なおバカ - 面白いです!!続きも気になる〜!続編頑張って下さい!!! (2020年5月11日 22時) (レス) id: 9900cccf42 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - 美穂さん» ありがとうございます!めっちゃ頑張れますっ (2020年5月8日 19時) (レス) id: 1bf06ece70 (このIDを非表示/違反報告)
美穂 - とっても面白いです。更新頑張ってください! (2020年5月8日 12時) (レス) id: f7b3d5ed55 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - ナギさん» はっ!本当ですね。。。大変失礼致しました!指摘してくださってありがとうございます! (2020年5月6日 9時) (レス) id: 1bf06ece70 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:マキ | 作成日時:2020年5月1日 19時